日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 地震・火山等の地殻活動に伴う地圏・大気圏・電離圏電磁現象

2015年5月26日(火) 16:15 〜 18:00 201A (2F)

コンビーナ:*児玉 哲哉(宇宙航空研究開発機構宇宙利用ミッション本部地球観測研究センター)、芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、長尾 年恭(東海大学地震予知研究センター)、早川 正士(電気通信大学)、座長:早川 正士(株式会社 早川地震電磁気研究所)、芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)

17:30 〜 17:45

[MIS27-08] 地震に先行する下部電離圏擾乱の統計的研究

須藤 雄志1、*東郷 翔帆1鴨川 仁1Jean-Jacques Berthelier2児玉 哲哉3 (1.東京学芸大学教育学部物理学科、2.LATMOS, France、3.宇宙航空研究開発機構宇宙利用ミッション本部地球観測研究センター)

キーワード:地震, 下部電離圏擾乱, DEMETER衛星

地震に関連する電磁気現象として大気圏および電離圏擾乱は1980年代後半ごろから指摘されてきた。これらの現象は短期地震予測への利用が期待されるが、変動が非常に微少であることやマグニチュードの大きな地震に対してのみ観測されることから、大量なイベント収集による統計的な解析が不可欠とされる。地球上の無数の地点で発生する地震に対してこれらの現象を効果的に収集する手段として衛星観測が挙げられる。特に近年は2004年6月にフランスCNESによって地震電磁気衛星DEMETERが打ち上げられ、地震に先行する夜間VLF帯電磁波強度減少現象が統計的結果として得られている。NĸmecらはDEMETERによって得られた電場データを解析し、震央上空における夜間VLF帯電磁波強度が周波数1.7 kHz周辺において地震発生前の4時間以内に4~6 dBほど減少するという規則性を指摘した。この周波数帯の電磁波は落雷によって発生する背景電磁波とみられ、下層電離圏異常が電磁波の伝搬に何らかの影響を与えると解釈される。本研究においては地震先行的な電磁波強度減少を統計的に検証および発生メカニズムの検討を行う。その結果、本現象を検知したと思われる数軌道の時系列解析によれば、地震への接近にしたがって強度減少が起きている事例を確認した。本現象は観測した周波数帯のバックグラウンドである落雷数との相関がみられなかったことから、電離圏下層擾乱が発生メカニズムとして考えられる。