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[ACC28-13] 南極ドームふじにおける氷床の層位をもったフィルンの圧密
キーワード:フィルン, 南極, 氷床, 南極雪氷, 氷河レオロジー
極地氷床の圧密課程をよりよく理解する目的で、南極ドームふじ頂部近傍の10km以内の範囲の3箇所で掘削されたフィルンコアを調査した。密度の指標としては、マイクロ波帯での誘電率として、εv とεhを調査した。それぞれは、電場を氷床で鉛直に印加した場合と水平に印加した場合の誘電率である。また、誘電異方性Δε (= εv - εh)を、フィルンのなかの空隙と氷のなす幾何構造の異方性の指標として調べた。私たちは、調査した3地点において共通に、フィルンの中では、2種類の現象の複雑な重ね合わせの結果として圧密が起こっていることを見いだした。まず基本的には、初期段階で低密度で且つ弱い異方性をもつフィルンは、組織構造によってもたらされる降下として、圧密のすべての段階を通じて優先的に圧密する。次に、高濃度のCl-イオンを含む層は、氷床表層から約30m深付近まで選択的に変形をする。海塩から解離したCl-イオンが、転位の動きを変調し、フィルンを柔らかくしてしまったことによってこれが起こる。しかし、この優先的な圧密は、Cl-イオンが拡散によって平滑化してしまった段階で止まってしまう。さらには、フィルンは、3箇所の掘削点で、幾何学的な異方性の強度、平均的な変形速度、そして、密度ゆらぎの強さの観点で、大きく異なる。私達は、この差異は、様々な空間スケールのなかでおこる堆積環境の差に起因する組織構造の効果(textural effects)によって起こっていると提案する。