日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS31] 地殻変動

2015年5月25日(月) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、村瀬 雅之(日本大学文理学部地球システム科学科)

18:15 〜 19:30

[SSS31-P18] ALOS-2干渉解析による長野県北部の地震に伴う地殻変動

*安藤 忍1迫田 浩司2吉田 康宏2 (1.気象研究所、2.気象庁)

キーワード:SAR干渉解析, 地殻変動, ALOS-2/PALSAR-2, 長野県北部の地震

2014年5月24日に,陸域観測技術衛星「だいち2号(ALOS-2)」が打ち上げられた.衛星に搭載された合成開口レーダ(PALSAR-2)は,先代の「だいち1号(ALOS)」同様,地表面の状態把握に優れたLバンド波長帯を利用しており,干渉性が高く面的な地殻変動観測に有効である.

平成26年11月22日に長野県北部でM6.7の地震が発生し,最大震度6弱を記録した。気象研究所では,地震発生前後のALOS-2/PALSAR-2のデータを用いて干渉解析を行い,この地震に伴う地殻変動の検出を試みた.使用したデータは,2014年9月19日と11月28日の北行軌道(パス126,フレーム720,右観測)及び2014年10月2日と11月27日の南行軌道(パス25,フレーム2840,左観測)で,どちらも良い干渉結果が得られた.各々のマイクロ波は西南西及び西北西上空から照射されており,震央付近の入射角は,約39°と約37°である.解析の結果,震央の東側では,最大8サイクル以上の衛星に近づく方向の位相変化が検出された.さらに,震央付近には神城断層が北北東?南南西に縦断しており,それに沿って,位相不連続線が認められた.

本解析で用いたPALSAR-2データの一部は,国土地理院が中心となって進めている防災利用実証実験(地震SAR解析WG)に基づいて観測・提供されたものである.また,一部はPIXELで共有しているものであり,宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである.PALSAR-2に関する原初データの所有権はJAXAにある.なお解析には,防災科学技術研究所の小澤拓氏により開発されたRINC(Ver0.25)を使用した.なお,干渉画像の処理過程においては,国土地理院発行の数値地図10mメッシュ(標高)を元にしたDEHMを使用し,地図の描画にはGMTを用いた.ここに記してお礼申し上げます.