日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG30] 陸域生態系における水・炭素・窒素などの循環に関する研究

2015年5月25日(月) 11:00 〜 12:45 301B (3F)

コンビーナ:*加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、平田 竜一(独立行政法人国立環境研究所)、座長:加藤 知道(北海道大学農学研究院)

12:15 〜 12:30

[ACG30-12] 衛星搭載ライダーを活用したボルネオ島の森林資源評価

*林 真智1平 春1三枝 信子1山形 与志樹1平野 高司2 (1.国立環境研究所、2.北海道大学農学研究院)

キーワード:森林バイオマス, 衛星搭載ライダー, ICESat/GLAS, ボルネオ島

森林は巨大な炭素の貯蔵庫として機能しているため、全球スケールの炭素循環過程の解明やREDD+を実現する観点などから、森林資源を正確かつ広域で評価できる技術への期待が、近年、高まりつつある。広域を観測するためには、衛星リモートセンシングを活用することが現実的だが、中でも衛星搭載ライダー(LiDAR)が注目を集めている。これは、レーザ光を衛星から地表面へ向けて照射し、反射されたレーザ光強度の時間変化を波形として観測するセンサであり、その波形を解析することで地表面付近の鉛直構造を推定できる。これまで、2003年から2009年にかけてNASAが運用したICESat衛星が唯一の衛星搭載ライダーであったが、今後、ICESat-2衛星の他、国際宇宙ステーションに設置するGEDIやMOLIといったセンサが計画されており、森林観測分野での活用が見込まれている。本研究では、急速に森林減少が進んでいることからREDD+の対象などとして注目されているボルネオ島を対象とし、既存の衛星搭載ライダー(ICESat/GLAS)を森林バイオマスの評価に利用することで、その能力を明らかにすることを目的とした。まず、GLASの観測位置と一致する37地点においてビッターリッヒ法により地上部バイオマスを計測し、そのデータを教師データとして利用することで、GLASの波形パラメータから地上部バイオマスを推定する経験式を構築した。交差検証の結果、この推定モデルの精度は 32.1 Mg ha-1 であった。次に、構築した推定モデルを、ボルネオ島を観測した127,862点のGLASデータに適用した。その結果、ボルネオ島における地上部バイオマスの平均値は 183.1 Mg ha-1 であることや、森林タイプ別に見ると、常緑広葉樹林はマングローブ林や灌木帯の2倍近い地上部バイオマスを有すること、全島における総量は 9.81 Gtであることなどが明らかとなった。また、GLASは離散的な点を観測しているため、MODIS衛星画像などを併用することで空間的に抜けのない森林バイオマス地図の作製もおこなった(図参照)。このような結果から、衛星搭載ライダーが広域の森林資源評価に適したセンサであることが示された。