日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS28] 東アジア‐北西太平洋域高解像度古気候観測網

2015年5月27日(水) 11:00 〜 12:45 202 (2F)

コンビーナ:*多田 隆治(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、中川 毅(立命館大学)、池原 研(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、山本 正伸(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、座長:長島 佳菜(海洋研究開発機構 地球環境観測研究開発センター)

11:00 〜 11:15

[MIS28-01] 高解像度古気候観測網:その戦略と展望

*多田 隆治1中川 毅2池原 研3山本 正伸4 (1.東京大学大学院理学系研究科、2.立命館大学、3.産業技術総合研究所地質情報研究部門、4.北海道大学大学院地球環境科学研究院)

キーワード:古気候, 古海洋, 観測網, 東アジア, 第四紀, 高解像度

気候変動は、地球システムの変動の現れであり、地表に現れた現象を様々な時空スケールで観測することは、地球システムのダイナミクスを理解し、変動の影響を評価する上で本質的なことである。その意味で、古気候研究は、こうした視点を支持するデータを提供する事を期待されている。古気候・古海洋学の進展に伴って、様々な代替指標に関する高時間解像度の時系列データが出されるようになり、古気候変動のタイミングや特徴に関する議論が可能になってきた。しかし、未だに、複数の地点で得られた高解像度時系列記録を高い時間制度と解像度で比較する事には大きな困難が伴っている。その結果、広い地域に渡り高空間解像度でカバーしたデータを取得する事も困難である。更に、代替指標の種類、品質も地点により様々で、異なった代替指標同士の校正はほとんど行われていない。
 そこで、ここでは、1)海域および陸域において、古気候学的に鍵となる地点から、第四紀を連続的にカバーし、かつ質の高い古気候・古海洋記録媒体を採取し、2)複数の地点から採取した記録媒体同士を、高い時間精度と解像度で対比することによって古気候観測網を確立し、3)こうした記録媒体について、高い時間精度と解像度で年代測定して標準となる年代モデルを確立し、それに基づく年代を2)で述べた対比を用いて観測網全体に投影すると共に、4)記録媒体を様々な代替指標について分析して、相互に校正された高精度、高解像度の古気候・古海洋パラメータを抽出し、5)その結果を統合してデータベース化し、更に再解析データ化する、ための系統的、統合的取り組みを提案したい。また、そうしたデータベースの活用法についても議論したい。