日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 地球惑星科学のアウトリーチ

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)

18:15 〜 19:30

[G03-P06] 2005年福岡県西方沖の地震(M7.0)の被害痕跡調査~その3~

*山田 伸之1野口 遥1 (1.福岡教育大学)

キーワード:2005年福岡県西方沖の地震, 被害痕跡

福岡地域は歴史的にみても地震被害の少ない地域であるが,近年で被害が大きかった地震は2005年福岡県西方沖の地震(M7.0)であった。この地震からは,ちょうど10年の歳月が流れ,この地震を経験した人々も時が経つにつれ,その時の経験を忘れつつあるのも実情である。そのときの記憶を残すためにも,地元の災害の歴史を伝え,防災へ繋げていくために,我々は,この地震の被害に関する痕跡の存在の調査を数年間にわたり継続してきた。具体的には,対象地震の被害に関する痕跡情報を集めるとともに,その存在の有無・確認のために,震度分布図も参考にして,博多湾沿岸地域の福岡市内を中心に神社仏閣・公園等を踏査してきた。一連の調査については,山田・姫野(2013),山田・園田(2014)で順次報告をしているが,今回は,調査範囲を広げ,今まで実施していなかった地域を対象とするとともに,これまでの取りまとめを行い,今年の新しい情報を追加更新した報告を行う。
その結果,今回は,新たに2カ所で当該地震の被害痕跡の存在を確認できた。その中には,複数の墓石で,回転移動した痕跡を見つけだし,地震動の特徴を追跡できるものであると考えられる。また,寺の住職などに当時の話を聞くこともできた。一方,地震直後に撮影された被害写真と現在の様子を撮影した(修復後の)写真との比較も行った。これまでの調査を通じて,現存する被害痕跡は10か所,被害修復跡や史跡は30か所となった。ここでは,調査のみならず,こうして得られた地震被害に関する痕跡の存在を多くの人に伝える手段の一つとして,散策マップを作成した。これは,手作り感と親しみやすさを意識し,見て回れるマップ作りを目指した。こうした一連の内容は,福岡地域の地震以外の災害史および災害跡を含め,さらなる情報の追加や表現方法の工夫によって,防災教育へのきっかけとして活用でき,また,マップは,学校・園などの遠足等での活用もできると考えられる。
なお,この研究は,文部科学省科学研究費補助金 若手研究(B)(課題番号:25350206)の一部を活用いたしました。記して感謝いたします。