09:30 〜 09:45
[PEM27-06] ナトリウムライダーエコーを用いた成層圏大気温度の導出
キーワード:ナトリウムライダー, レイリー散乱
本講演では、ナトリウムライダーから得られるレイリー散乱光を用いた上部成層圏温度の導出について、その手法と結果について示す。我々は、ノルウェー・トロムソ(69.6N, 19.2E)のEISCATレーダーサイトにナトリウムライダーを設置し、高度80-110 kmにおける大気温度・ナトリウム密度・風速を観測している。ナトリウムライダーによる観測は、2010年10月からこれまで5シーズン(冬期暗夜期間:10月から3月)行い、約2800時間の大気温度データを取得している。同サイトに運用されている他の観測機器(EISCAT UHFレーダー・VHFレーダー、MFレーダー、流星レーダーなど)と併用し、大気上下結合および磁気圏/電離圏/熱圏結合に着目して、研究を進めている。2015年冬には、大気微量成分観測用のミリ波受信器の設置を計画している。
ライダー観測は、観測するターゲットにレーザーを照射し、そのターゲットからの散乱光を受信することにより、ターゲットの情報を得る。ターゲットである散乱体の特徴(形状・性質・大きさなど)により散乱過程が異なるため、ライダー観測は幾つかの種類に分類される。我々の用いているナトリウムライダーは、高度80-110 kmのナトリウム金属層中のナトリウム原子の共鳴散乱を利用して、大気温度・風速の導出を行っている。ナトリウムライダーでは、ナトリウム金属層からの共鳴散乱光と共に、低高度での大気分子によるレイリー散乱光も同時に受信している。通常高度30 km付近のレイリー散乱光を用いて、送信パワーの校正を行っている。本研究では、レイリー散乱光を用いて、上部成層圏大気(30-50 km)の大気温度プロファイルの導出を行った。
ライダー観測で得られるレイリー散乱光データから大気密度の高度プロファイルを求めることができる。送信レーザー光の大気透過率は、レイリー散乱断面積、大気数密度、透過距離から求める。次に、状態方程式と静水圧平衡を仮定することで、大気温度を導出する。積分時間1観測日、高度分解能1 kmで導出した大気温度を、ヨーロッパ中期予報センター(The European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)による大気温度データと比較を行い、おおむね良い結果を得た。
この導出法の確立により、ナトリウムの共鳴散乱による高度80-110 km高度領域の大気温度プロファイルに加えて、レイリー散乱による高度30-50 kmの大気温度プロファイルが観測可能になり、上部成層圏と上部中間圏・下部熱圏の大気の大気温度変動の相関についての詳細な比較が可能となる。また、導出した成層圏温度は、今後行われるミリ波観測のデータ精度向上に貢献することが期待できる。
ライダー観測は、観測するターゲットにレーザーを照射し、そのターゲットからの散乱光を受信することにより、ターゲットの情報を得る。ターゲットである散乱体の特徴(形状・性質・大きさなど)により散乱過程が異なるため、ライダー観測は幾つかの種類に分類される。我々の用いているナトリウムライダーは、高度80-110 kmのナトリウム金属層中のナトリウム原子の共鳴散乱を利用して、大気温度・風速の導出を行っている。ナトリウムライダーでは、ナトリウム金属層からの共鳴散乱光と共に、低高度での大気分子によるレイリー散乱光も同時に受信している。通常高度30 km付近のレイリー散乱光を用いて、送信パワーの校正を行っている。本研究では、レイリー散乱光を用いて、上部成層圏大気(30-50 km)の大気温度プロファイルの導出を行った。
ライダー観測で得られるレイリー散乱光データから大気密度の高度プロファイルを求めることができる。送信レーザー光の大気透過率は、レイリー散乱断面積、大気数密度、透過距離から求める。次に、状態方程式と静水圧平衡を仮定することで、大気温度を導出する。積分時間1観測日、高度分解能1 kmで導出した大気温度を、ヨーロッパ中期予報センター(The European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)による大気温度データと比較を行い、おおむね良い結果を得た。
この導出法の確立により、ナトリウムの共鳴散乱による高度80-110 km高度領域の大気温度プロファイルに加えて、レイリー散乱による高度30-50 kmの大気温度プロファイルが観測可能になり、上部成層圏と上部中間圏・下部熱圏の大気の大気温度変動の相関についての詳細な比較が可能となる。また、導出した成層圏温度は、今後行われるミリ波観測のデータ精度向上に貢献することが期待できる。