18:15 〜 19:30
[SSS25-P10] 沖縄島中部から奄美群島南部におけるS波速度構造探査
キーワード:沖縄島・与論島・沖永良部島・徳之島, S波速度構造, 微動アレイ探査
琉球海溝に沿って点在する南西諸島では,島ごとに頻度の程度にばらつきはあるものの,過去に主にプレート境界で発生する地震による被害に見舞われている.また,一部の島々では,近い将来に震度6弱以上の強い揺れに見舞われる可能性が高いと評価されているとともに,活断層の存在も指摘される島もあり[例えば,地震調査研究推進本部],将来的に地震被害を受ける危険性は低くないといえる.
これまでに,著者らは,奄美大島から八重山諸島の南西諸島の各島々での地震観測点周辺を中心に微動アレイ探査を実施し,暫定版として報告してきた(例えば,山田・竹中(2013, 2014各秋季大会)).その中でも,Yamada & Takenaka(2014)では,沖縄島南東部の南城市から那覇市,座間味島,久米島にかけての東西を縦断する地点での微動アレイ探査の結果を報告し,地点毎のS波速度構造を解明してきた.こうして,具体的な物性値であるS波速度構造情報を蓄積させることは,地震動評価の精度向上のためのモデル化に必要なことであると考えられる.今回は,これまでにまだ報告してきていなかった地点の深部地盤のS波速度構造を明らかにしたものの報告を行う.なお,この地域では,防災科学技術研究所のJ-SHISの深部地盤モデルが公表されているものの,S波速度の探査はこれまでになされてはいない.
本発表では,沖縄島中北部から奄美群島南部にかけての強震観測点(K-NET)周辺で実施した微動アレイ探査結果について報告する.対象地点は,沖縄島内のうるま(URM),名護(NGO),国頭(KGS)および奄美群島南部の与論島茶花(YRN),沖永良部島知名(OKE),徳之島伊仙(TKS)の各地点である.アレイ観測の実施は,URMとNGOは2014年2月,KGS, YRN, OKEは2009年3月,TKSは2010年2月および2011年9月に行われたもので,観測には,強震計とロガーの組み合わせを7セット用いた.なお,探査サイトにより使用した観測機器が異なるが,データ解析への支障はなかった.観測については,これまでの報告と同様に,常時微動の収録を行った.与論島・沖永良部島・徳之島の各島でのスペクトル形状は,周期4秒前後に非常に明瞭なピークを呈していたが,沖縄島内の地点ではあまり明瞭でなかった.こうして得られた観測データから,位相速度を求めると,いずれの地点も,周期1秒前後で2.0 km/sを超える似た傾向を示していた.
今後,詳細な速度構造の解明を行うとともに,これまでの探査結果との対応関係やJ-SHISの速度構造モデルとの比較を行い,強震記録を参考にしながら,逆解析で得られた速度構造の妥当性についての検討も視野に入れたい.
なお,この研究の一部は,科学研究費基盤研究(B) (課題番号:26282105)の補助を受けています.記して,感謝いたします.
これまでに,著者らは,奄美大島から八重山諸島の南西諸島の各島々での地震観測点周辺を中心に微動アレイ探査を実施し,暫定版として報告してきた(例えば,山田・竹中(2013, 2014各秋季大会)).その中でも,Yamada & Takenaka(2014)では,沖縄島南東部の南城市から那覇市,座間味島,久米島にかけての東西を縦断する地点での微動アレイ探査の結果を報告し,地点毎のS波速度構造を解明してきた.こうして,具体的な物性値であるS波速度構造情報を蓄積させることは,地震動評価の精度向上のためのモデル化に必要なことであると考えられる.今回は,これまでにまだ報告してきていなかった地点の深部地盤のS波速度構造を明らかにしたものの報告を行う.なお,この地域では,防災科学技術研究所のJ-SHISの深部地盤モデルが公表されているものの,S波速度の探査はこれまでになされてはいない.
本発表では,沖縄島中北部から奄美群島南部にかけての強震観測点(K-NET)周辺で実施した微動アレイ探査結果について報告する.対象地点は,沖縄島内のうるま(URM),名護(NGO),国頭(KGS)および奄美群島南部の与論島茶花(YRN),沖永良部島知名(OKE),徳之島伊仙(TKS)の各地点である.アレイ観測の実施は,URMとNGOは2014年2月,KGS, YRN, OKEは2009年3月,TKSは2010年2月および2011年9月に行われたもので,観測には,強震計とロガーの組み合わせを7セット用いた.なお,探査サイトにより使用した観測機器が異なるが,データ解析への支障はなかった.観測については,これまでの報告と同様に,常時微動の収録を行った.与論島・沖永良部島・徳之島の各島でのスペクトル形状は,周期4秒前後に非常に明瞭なピークを呈していたが,沖縄島内の地点ではあまり明瞭でなかった.こうして得られた観測データから,位相速度を求めると,いずれの地点も,周期1秒前後で2.0 km/sを超える似た傾向を示していた.
今後,詳細な速度構造の解明を行うとともに,これまでの探査結果との対応関係やJ-SHISの速度構造モデルとの比較を行い,強震記録を参考にしながら,逆解析で得られた速度構造の妥当性についての検討も視野に入れたい.
なお,この研究の一部は,科学研究費基盤研究(B) (課題番号:26282105)の補助を受けています.記して,感謝いたします.