09:00 〜 09:15
[PEM27-04] 北極域下部熱圏における中性大気温度とイオン温度の比較研究
キーワード:ナトリウムライダー, EISCATレーダー, ジュール加熱, 大気温度, 極域下部熱圏
我々のグループでは、2010年10月からEISCATトロムソ観測所(69.6oN,19.2oE)にてナトリウムライダーを用いた上部中間圏・下部熱圏(高度80-110 km)の中性大気温度測定を実施している。ナトリウムライダー観測は、冬期暗夜期間 (10月から3月)に行い、現在までに約2800時間の大気温度データを取得している。2012年10月より、5方向同時観測を実施し、約1700時間中性大気風速データも取得している。このナトリウムライダーと、EISCAT UHFレーダーとの同時観測は、43晩(約250時間)に及ぶ。我々は、これらの同時観測された日のデータを用いて、高度100 kmから110 kmにおける、中性大気温度とイオン温度の比較研究を行った。
中性大気とイオン大気は、衝突によりエネルギー交換を行うことにより、中緯度では、高度150 km付近まで両者の温度がほぼ等しいと考えられている。極域熱圏・電離圏においては、磁気圏からのエネルギー流入を受けるため、高度約100 kmより上空で、中性大気温度とイオン温度が等しい関係は常に成り立つとは限らない。両者の温度差は、ジュール加熱、オーロラ粒子加熱、電子ーイオン熱交換などが原因と考えることができる。これらの加熱や熱交換を定量的に評価するために、まずナトリウムライダーにより取得された大気温度と、EISCAT UHFレーダーから取得されたイオン温度を高度100-110 kmで比較した。
同時観測された日のデータを解析したところ、高度約105 km以下では中性大気温度とイオン温度はほぼ等しいが、高度110 km付近ではイオン温度が中性大気温度よりも高くなっている例が多かった。講演では、これらの温度比較の例を示し、さらにオーロラ活動の有無・電場強度等を考慮して整理した比較結果を示す。そして、中性大気とイオン温度の差の主原因と考えられるジュール加熱率を考察する予定である。
中性大気とイオン大気は、衝突によりエネルギー交換を行うことにより、中緯度では、高度150 km付近まで両者の温度がほぼ等しいと考えられている。極域熱圏・電離圏においては、磁気圏からのエネルギー流入を受けるため、高度約100 kmより上空で、中性大気温度とイオン温度が等しい関係は常に成り立つとは限らない。両者の温度差は、ジュール加熱、オーロラ粒子加熱、電子ーイオン熱交換などが原因と考えることができる。これらの加熱や熱交換を定量的に評価するために、まずナトリウムライダーにより取得された大気温度と、EISCAT UHFレーダーから取得されたイオン温度を高度100-110 kmで比較した。
同時観測された日のデータを解析したところ、高度約105 km以下では中性大気温度とイオン温度はほぼ等しいが、高度110 km付近ではイオン温度が中性大気温度よりも高くなっている例が多かった。講演では、これらの温度比較の例を示し、さらにオーロラ活動の有無・電場強度等を考慮して整理した比較結果を示す。そして、中性大気とイオン温度の差の主原因と考えられるジュール加熱率を考察する予定である。