18:15 〜 19:30
[SCG59-P06] 三軸圧縮破壊試験における庵治花崗岩の弾性波速度測定
キーワード:弾性波速度, 地熱貯留層, 水圧破砕, ダイラタンシー
弾性波速度は地下構造を把握するための重要な物性のひとつである。特に地熱発電では、地熱流体がトラップされた地熱貯留層の評価において重要な役割を担っている。さらに水圧破砕によって形成される人工的な地熱貯留層の評価においても欠かせない物性である。弾性波速度は空隙率、クラックの形状や分布、流体の有無などその状況によって変化する。これまでには封圧に対する速度変化(Nur and Simmons,1969)や岩石の破壊過程での速度変化(Bonner,1974)など様々な実験結果がえられている。実験室でこれらの変化を調べることは地下構造のデータの解釈、つまり地熱貯留層・人工貯留層の評価につながる。本研究では間隙水圧をかけた状態での破壊過程の速度変化を調べ、水圧破砕においての人工貯留層評価につなげることを目的として、卒業研究では広島大学の容器内変形透水試験機による弾性波速度測定システムを改良し、乾燥状態での破壊過程の弾性波速度変化を調べた。
試料には庵治花崗岩を円柱形に成形したものを用いて、試料の上側に圧電素子を配置するパルス反射法、試料の上下に圧電素子を配置する透過法(σ1方向)、試料の側面に直接圧電素子をはりつける透過法(σ3方向)の3つを試した。これら3つの方法でそれぞれ封圧10-200MPaで弾性波速度を測定したところ、それぞれの測定法で封圧の上昇に伴う圧密効果による弾性波速度の増加を確認することができた。しかし、パルス反射法、透過法(σ1方向)においては波の減衰が大きく、空隙の多い低圧下や試料の長さが長くなると速度を算出できず、破壊実験で用いる長さ40mmの試料ではこれらの測定方法を用いることができない。これに対して透過法(σ3方向)では、圧電素子を試料に直接貼り付けるために圧電素子を再利用できないが、他の2つの測定方法と比べて波の減衰を最小限に抑えることが可能である。
以上の結果から透過法(σ3方向)を用いて破壊中の庵治花崗岩の弾性波速度の測定を行った。この破壊実験は容器内変形透水試験機のサーボによる載荷システムを用いて、封圧20MPa、変位速度0.01mm/minで一定に保ち行った。間隙水圧は0MPaである。サンプルには庵治花崗岩を長さ40mm、直径20mm、また側面に圧電素子をはる加工を行ったものを用いた。破壊応力のおよそ1/5までは弾性波速度の増加がみられ、そこから徐々に速度変化がなくなり破壊応力のおよそ1/3を超えるあたりから速度が減少に転じる。これはまず、既存のマイクロクラックの閉鎖によって速度が増加し、その後徐々にサンプル内に新たなクラックが生成することで速度変化が減少に転じ、このクラックの生成の効果がより強くなることで速度が急激に減少すると考えられる。つまり、この速度の減少はダイラタンシーの効果で説明することが可能である。また、本実験においてはS波の振動方向を最大圧縮軸に対して垂直にしているため、Vsの増加はσ3方向に伸びているクラックの閉鎖に強く影響を受けていると考えられる。
試料には庵治花崗岩を円柱形に成形したものを用いて、試料の上側に圧電素子を配置するパルス反射法、試料の上下に圧電素子を配置する透過法(σ1方向)、試料の側面に直接圧電素子をはりつける透過法(σ3方向)の3つを試した。これら3つの方法でそれぞれ封圧10-200MPaで弾性波速度を測定したところ、それぞれの測定法で封圧の上昇に伴う圧密効果による弾性波速度の増加を確認することができた。しかし、パルス反射法、透過法(σ1方向)においては波の減衰が大きく、空隙の多い低圧下や試料の長さが長くなると速度を算出できず、破壊実験で用いる長さ40mmの試料ではこれらの測定方法を用いることができない。これに対して透過法(σ3方向)では、圧電素子を試料に直接貼り付けるために圧電素子を再利用できないが、他の2つの測定方法と比べて波の減衰を最小限に抑えることが可能である。
以上の結果から透過法(σ3方向)を用いて破壊中の庵治花崗岩の弾性波速度の測定を行った。この破壊実験は容器内変形透水試験機のサーボによる載荷システムを用いて、封圧20MPa、変位速度0.01mm/minで一定に保ち行った。間隙水圧は0MPaである。サンプルには庵治花崗岩を長さ40mm、直径20mm、また側面に圧電素子をはる加工を行ったものを用いた。破壊応力のおよそ1/5までは弾性波速度の増加がみられ、そこから徐々に速度変化がなくなり破壊応力のおよそ1/3を超えるあたりから速度が減少に転じる。これはまず、既存のマイクロクラックの閉鎖によって速度が増加し、その後徐々にサンプル内に新たなクラックが生成することで速度変化が減少に転じ、このクラックの生成の効果がより強くなることで速度が急激に減少すると考えられる。つまり、この速度の減少はダイラタンシーの効果で説明することが可能である。また、本実験においてはS波の振動方向を最大圧縮軸に対して垂直にしているため、Vsの増加はσ3方向に伸びているクラックの閉鎖に強く影響を受けていると考えられる。