18:15 〜 19:30
[SCG58-P09] 兵庫県生野多金属鉱床地域及び岡山県三石ろう石鉱床地域の後期白亜紀火山岩類のジルコンU-Pb年代
キーワード:U-Pb年代, 生野, 多金属鉱脈, 三石, ろう石鉱床, 後期白亜紀
西南日本内帯には白亜紀〜古第三紀火成岩類とこれらの活動に伴う熱水鉱床が広く分布している.そのうち,生野—明延地域は多金属鉱床として,三石地域はろう石鉱床としてそれぞれ日本有数の鉱床地域である.生野地域の鉱床は,兵庫県中北部の朝来市周辺に分布する.後期白亜紀生野層下部〜中部(主にデイサイト〜流紋岩凝灰岩及び火山礫凝灰岩)及びこれを貫く岩脈の一部を母岩とする多金属熱水鉱脈で,鉱化熱水系の熱源は地下に伏在する深成岩体が想定されている(吉川ほか,2005,産総研).一方,三石地域の鉱床は,岡山県南東部の備前市三石周辺に分布する.後期白亜紀和気層の最下部(主に流紋岩溶結凝灰岩及び火山礫凝灰岩)を母岩とする白亜紀火成活動に伴う酸性熱水活動により形成されたものと推定されている(佐藤ほか,執筆中).これら鉱床地域の地質や変質作用,鉱化年代についての研究はいくつか報告されているが(例えば,柴田・藤井,1971,地調月報;Ishihara and Shibata, 1972, Mining Geol.;藤井ほか,1979,鉱山地質;吉川ほか,2005など),母岩の噴出年代については変質のためその詳細は不明であった.そこで今回,LA-ICP-MSによるジルコンU-Pb年代測定を行い,母岩の噴出年代を検討したので報告する.
ジルコンU-Pb年代測定は株式会社京都フィッション・トラックに依頼した.その結果,生野鉱山付近で採取した生野層下部のデイサイト火山礫凝灰岩から78.9±0.9 Ma,三石地域の土橋鉱山坑内で採取したダイアスポア(流紋岩溶結凝灰岩)から82.4±0.6 MaのU-Pb年代がそれぞれ得られた.生野鉱床では,本測年試料と同一層準の年代は得られていないが,鉱化前の流紋岩岩脈から75 Ma(補正値,原著は72.8±2.9 Ma;Ishihra and Shibata, 1972)の全岩K-Ar年代が報告されており,本報告の年代値より明らかに若い.三石地域では,母岩のセリサイト化流紋岩溶結凝灰岩などから80.5 Ma(補正値,原著は78.7±3.2 Ma;柴田・藤井,1971)及び80.0±1.7 Ma〜73.0±1.6 Ma(本宮ほか,2000,粘土科学)の全岩K-Ar年代が報告されており,下限の年代値は本報告の年代値よりわずかに若い程度に近似する.これは従来の指摘通り,生野鉱床は母岩の火山活動とは別の火成(深成)活動が,三石地域は母岩の火山活動に伴う熱水活動がそれぞれ鉱床生成に関与していることを示唆する,
ジルコンU-Pb年代測定は株式会社京都フィッション・トラックに依頼した.その結果,生野鉱山付近で採取した生野層下部のデイサイト火山礫凝灰岩から78.9±0.9 Ma,三石地域の土橋鉱山坑内で採取したダイアスポア(流紋岩溶結凝灰岩)から82.4±0.6 MaのU-Pb年代がそれぞれ得られた.生野鉱床では,本測年試料と同一層準の年代は得られていないが,鉱化前の流紋岩岩脈から75 Ma(補正値,原著は72.8±2.9 Ma;Ishihra and Shibata, 1972)の全岩K-Ar年代が報告されており,本報告の年代値より明らかに若い.三石地域では,母岩のセリサイト化流紋岩溶結凝灰岩などから80.5 Ma(補正値,原著は78.7±3.2 Ma;柴田・藤井,1971)及び80.0±1.7 Ma〜73.0±1.6 Ma(本宮ほか,2000,粘土科学)の全岩K-Ar年代が報告されており,下限の年代値は本報告の年代値よりわずかに若い程度に近似する.これは従来の指摘通り,生野鉱床は母岩の火山活動とは別の火成(深成)活動が,三石地域は母岩の火山活動に伴う熱水活動がそれぞれ鉱床生成に関与していることを示唆する,