日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM28] 磁気圏-電離圏ダイナミクス

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、長谷川 洋(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)

18:15 〜 19:30

[PEM28-P01] 地上多点光学・レーダー観測による脈動オーロラの発光高度推定

*近藤 裕菜1坂野井 健1田中 良昌2小川 泰信2鍵谷 将人1宮岡 宏2Noora Partamies3Daniel Whiter3Urban Brandstrom4Carl-fredrik Enell5Alexander Kozlovsky6 (1.東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター、2.国立極地研究所、3.フィンランド気象研究所、4.スウェーデン宇宙物理研究所、5.ソダンキュラ地球物理観測所、6.EISCAT科学協会)

キーワード:脈動オーロラ, 発光高度, 地上多点観測

今回我々は、地上多点光学観測ならびにEISCATレーダーにより観測された脈動オーロラの発光高度推定について報告する。過去の地上観測から、脈動オーロラは10keV以上の比較的高エネルギー降下電子により生成され、100km以下の低高度で発光する場合があることが指摘されている。しかしながら、降下電子のエネルギーのおローカルタイム依存性やオーロラパッチ(~横幅100km)よりも小さい空間分布は依然として理解されていない。オーロラ発光高度は降込み粒子のエネルギーに対応するため、地上光学観測によるオーロラ発光高度推定は有力な手段である。
本研究では、脈動オーロラの発光高度を推定するために2014年2月26日02:00UT付近にスカンジナビア半島北部の3地点(Kilpisjarvi,・Abisko・Tromso)におけるEMCCD単色イメージャーにより同時観測されたN2+428nmオーロラ発光のデータを解析した。
まず、3地点に置いて連続観測された脈動オーロラ画像から相関関係を目視で判定し、視野の中心付近に脈動オーロラパッチが位置した02:15:00:00-02:15:30:00UTの画像データを解析対象とした。この中で、特に明瞭な構造を持つパッチが存在する北緯68度-69°、東経20度-23度の範囲のデータを切り出し、3地点のオーロラ発光強度で割ることによって規格化した。
次に、それぞれの地点におけるオーロラ画像データについて、マッピング高度を2km毎に変化させプロットした。さらに、2地点における画像データの平均輝度の差分を取り、分散を見積もった。この結果得られた分散が最小となるマッピング高度をオーロラ発光高度とみなした。今回のケースでは、結果としてオーロラ発光高度は98-104kmと推定された。一方で、同時観測をしていたEISCATから得られた電子密度のピーク高度は90-120km付近であり、これは光学多点観測から推定されたピーク高度と整合的であった。また、過去の研究と比較すると、本研究の結果は整合的であり、約10keVの降下電子により脈動オーロラが生成されたことが示唆される。