18:15 〜 19:30
[SSS28-P05] 重力異常からみた新潟平野東縁断層帯の特徴
キーワード:櫛形山脈断層帯, 月岡断層帯, 重力探査, 密度構造解析
新潟平野と越後山脈を境する地域には櫛形山脈断層帯および月岡断層帯がNNE-SSW方向に分布しており、池田ほか[2002]ではこれらをまとめて新潟平野東縁断層帯(以下、東縁断層帯)と呼んでいる。東縁断層帯は北部フォッサマグナ東縁の一部を成し、山下[1970]が提唱した新発田-小出構造線に沿って分布する断層帯の1つでもある。新潟平野は最深部において6000 mを超える極めて厚い堆積盆であり、一方で越後山脈には基盤岩類が露出し、さらに月岡断層帯西方には明瞭な新津丘陵(背斜)が発達している。月岡断層を横切る高分解能反射法地震探査[加藤ほか, 2013]によると、月岡断層は基盤岩類を不整合に覆う新第三系底部に沿って発達する層面すべり断層であると報告している。このように本地域周辺の地質構造は極めて変動的であり、地表で認識される個々の活構造が地下でどのように関連しているのかについては不明な点が多い。
本研究は、重力異常の観点から東縁断層帯の特徴を解明することを目的とし、東縁断層帯を横断する稠密重力探査およびその解析結果について報告する。
2014年9月1~9日、東縁断層帯周辺において重力探査を実施した。探査ではScintrex社製CG-3M型重力計を用いた。月岡断層帯および新津丘陵を横断する探査測線4本を設定し、その測定上および周囲の測定点数は計181点である。国土地理院[2006] 、Yamamoto et al. [2011]、産総研地質調査総合センター[2013]による測定データも使用した。
重力データには通常の処理・補正手順に加え、地形補正[本多・河野, 2005]とスラブ補正[Furuse and Kono, 2003]を施しブーゲー異常図を作成した(仮定密度2,670 kg/m3)。4本の探査測線沿いに2次元タルワニ法[Talwani et al., 1959]を適応し密度構造解析を行った。また地質構造の不連続線を抽出するべく、ブーゲー異常の水平・鉛直 1 次微分操作によるフィルタリング処理も行った。
ブーゲー異常は平野側では低異常、越後山脈側では平野側よりも40 mGal以上高い高異常を示す。ブーゲー重力急勾配や鉛直微分のゼロ等値線(地下での構造不連続を表す)はそれぞれ東縁断層帯に沿って連続かつ明瞭に延長し、2つの断層帯の間でも連続している。したがってこれらの断層帯は、地下では1つの断層構造として存在していることが示唆される。新津丘陵ではブーゲー異常のやや高異常(平野側よりも30~40 mGal高い)となる領域やブーゲー重力急勾配と鉛直微分のゼロ等値線はその西翼側に存在する。
反射法地震探査測線上で実施した稠密重力探査から、ブーゲー異常は測線西部より連続的に変化し、ブーゲー重力勾配の極大やゼロ値は断層地表トレースの西部近傍に位置することが分かった。これは東縁断層帯が高角西傾斜の断層構造であることを示唆し、反射法地震探査の結果と整合的である。また密度構造解析から、櫛形山脈断層帯と月岡断層帯の間には西傾斜伏在断層や東傾斜半地溝が存在し、さらに新津丘陵が西翼緩傾斜の非対称背斜構造であることが確認された。
本研究は科研費基盤(C)課題番号26400450の助成を受けて行った。
本研究は、重力異常の観点から東縁断層帯の特徴を解明することを目的とし、東縁断層帯を横断する稠密重力探査およびその解析結果について報告する。
2014年9月1~9日、東縁断層帯周辺において重力探査を実施した。探査ではScintrex社製CG-3M型重力計を用いた。月岡断層帯および新津丘陵を横断する探査測線4本を設定し、その測定上および周囲の測定点数は計181点である。国土地理院[2006] 、Yamamoto et al. [2011]、産総研地質調査総合センター[2013]による測定データも使用した。
重力データには通常の処理・補正手順に加え、地形補正[本多・河野, 2005]とスラブ補正[Furuse and Kono, 2003]を施しブーゲー異常図を作成した(仮定密度2,670 kg/m3)。4本の探査測線沿いに2次元タルワニ法[Talwani et al., 1959]を適応し密度構造解析を行った。また地質構造の不連続線を抽出するべく、ブーゲー異常の水平・鉛直 1 次微分操作によるフィルタリング処理も行った。
ブーゲー異常は平野側では低異常、越後山脈側では平野側よりも40 mGal以上高い高異常を示す。ブーゲー重力急勾配や鉛直微分のゼロ等値線(地下での構造不連続を表す)はそれぞれ東縁断層帯に沿って連続かつ明瞭に延長し、2つの断層帯の間でも連続している。したがってこれらの断層帯は、地下では1つの断層構造として存在していることが示唆される。新津丘陵ではブーゲー異常のやや高異常(平野側よりも30~40 mGal高い)となる領域やブーゲー重力急勾配と鉛直微分のゼロ等値線はその西翼側に存在する。
反射法地震探査測線上で実施した稠密重力探査から、ブーゲー異常は測線西部より連続的に変化し、ブーゲー重力勾配の極大やゼロ値は断層地表トレースの西部近傍に位置することが分かった。これは東縁断層帯が高角西傾斜の断層構造であることを示唆し、反射法地震探査の結果と整合的である。また密度構造解析から、櫛形山脈断層帯と月岡断層帯の間には西傾斜伏在断層や東傾斜半地溝が存在し、さらに新津丘陵が西翼緩傾斜の非対称背斜構造であることが確認された。
本研究は科研費基盤(C)課題番号26400450の助成を受けて行った。