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[PCG32-13] 紫外線望遠鏡による系外惑星観測計画の検討状況
キーワード:系外惑星, 紫外線, 宇宙望遠鏡
1995年に系外惑星が発見されてから数多くの観測が行われ、検出された惑星の数は現時点で1800を超えている。そのうちの多くの惑星は太陽系における水星軌道よりも内側を周回しており、主星からの強い紫外線放射で大気が加熱され大規模な大気散逸が起きていると推測される。また、一部の惑星では大気組成に関する情報が得られている。地球から見て主星の前を惑星が通過する際に、主星の光を遮蔽するトランジット現象を利用して、数多くの惑星が検出されている。大気を持たない惑星においては、トランジット時における主星光の減光率は波長に依存しないが、大気を持つ惑星の場合、大気中に含まれる原子・分子が、特定の波長の光を吸収・散乱するため、分光観測によって大気組成に関する情報が得られる。
HD209458bは、その直径が木星半径の1.4倍であるのに対し、公転軌道半径が0.047AUとなっており、ホットジュピターと呼ばれる惑星である。この惑星については、ナトリウム、水素、マグネシウム、H2Oなどの大気成分が検出されている。水素はハッブル望遠鏡によるLyα線の観測により検出されており、トランジット時の減光率から惑星半径の3倍まで光学的に厚い水素大気が広がっていることが示されている。このことから、この惑星では太陽系では起きていないような非常に激しい大気散逸現象が起きていることが分かる。他にも大規模な大気散逸現象が予想される惑星が複数見つかっている。
このような現象を捉えるために、トランジット時に紫外から赤外域までの幅広い領域において分光観測を実施する必要があるが、数年のうちに運用停止を迎えるハッブル宇宙望遠鏡以外に紫外域の観測が行える望遠鏡は存在しない。またNASAやESAで提案されている将来計画においても観測波長域は可視-赤外であり、ロシアが多目的の大型紫外宇宙望遠鏡(1.7m)の開発を進めているものの、打ち上げ年度は未定である。そこで、我々は系外惑星系観測に特化した小型の紫外宇宙望遠鏡の検討を進めている。本発表では、本計画の科学目標と海外の動向を紹介し、検討状況の報告を行う。
HD209458bは、その直径が木星半径の1.4倍であるのに対し、公転軌道半径が0.047AUとなっており、ホットジュピターと呼ばれる惑星である。この惑星については、ナトリウム、水素、マグネシウム、H2Oなどの大気成分が検出されている。水素はハッブル望遠鏡によるLyα線の観測により検出されており、トランジット時の減光率から惑星半径の3倍まで光学的に厚い水素大気が広がっていることが示されている。このことから、この惑星では太陽系では起きていないような非常に激しい大気散逸現象が起きていることが分かる。他にも大規模な大気散逸現象が予想される惑星が複数見つかっている。
このような現象を捉えるために、トランジット時に紫外から赤外域までの幅広い領域において分光観測を実施する必要があるが、数年のうちに運用停止を迎えるハッブル宇宙望遠鏡以外に紫外域の観測が行える望遠鏡は存在しない。またNASAやESAで提案されている将来計画においても観測波長域は可視-赤外であり、ロシアが多目的の大型紫外宇宙望遠鏡(1.7m)の開発を進めているものの、打ち上げ年度は未定である。そこで、我々は系外惑星系観測に特化した小型の紫外宇宙望遠鏡の検討を進めている。本発表では、本計画の科学目標と海外の動向を紹介し、検討状況の報告を行う。