日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG35] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2015年5月27日(水) 11:00 〜 12:45 105 (1F)

コンビーナ:*山口 直文(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)、高柳 栄子(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、池田 昌之(静岡大学)、座長:清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)

12:39 〜 12:42

[HCG35-P04] 堆積相を考慮した沖積層の3次元地質モデル‐熊本平野での例‐

ポスター講演3分口頭発表枠

*中尾 健人1石原 与四郎1成瀬 元1 (1.福岡大学理学部地球圏科学科地学分野)

キーワード:沖積平野, ボーリング情報, 岩質の連続性, 熊本平野, 堆積相, 三次元地質モデル

日本の沖積平野は臨海平野部に位置し,多くの場合人口が集中する.近年の沖積層の研究では,これらが地盤工学的に脆弱な地質であることから,地盤図や三次元地盤モデルの構築が積極的に行われている.江藤ほか(2008)は関東平野の埋積谷を充填する沖積層の三次元地質・地盤モデルを解釈や専門家の知識を必要としない方法で構築した.一方,三次元地質・地盤モデルを構築する上であまり顧みられていない重要な点は岩質の連続性の評価である.その連続性はこれらの堆積過程が反映されるため,それぞれの“堆積相”を判定することは,モデルの精度の向上につながると考えられる.
 九州中央部の熊本市を中心とした地域に分布する熊本平野は,阿蘇カルデラから流れる白川と緑川の下流部に位置する.本地域の沖積層は下位より島原海湾層,有明粘土層と累積する.有明粘土層の堆積相として内奥部に河川流路と氾濫原,島原海湾周辺部に完新世のデルタが認められる(長谷・岩内,1996).本研究では,熊本平野の沖積層ボーリングの岩相分布の特性を評価した上で,埋積谷における三次元地質モデルの構築手法を改良して熊本平野に適用した.その結果,かつてから指摘されている有明粘土層からなる軟弱地盤が内奥部まで広がるという特徴が可視化された.