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[SCG62-08] 潮汐に応答する琉球海溝の超低周波地震
キーワード:超低周波地震, 潮汐, 琉球海溝
琉球海溝に沿って超低周波地震(VLFE)が発生していることが明らかになってきた(Ando et al., 2012; 浅野・他, 2013, 2014, Asano et al., 2015; Nakamura and Sunagawa, 2015)。VLFEは応力降下量が非常に小さいため、地球潮汐(数kPa)程度の小さな応力変化で活発化しやすいと考えられる。そこで琉球海溝で発生する浅部超低周波地震活動について、地球潮汐との対応を調べた。
2002年1月1日~2014年12月31日に琉球海溝で発生したMw3.5以上のVLFEイベントを解析に用いた。使用したVLFEカタログはNakamura and Sunagawa (2015)の手動読み取り法による震源リストである。海洋潮汐の記録として気象庁の検潮記録(那覇・石垣・名瀬)の3点を使用した。また、地球潮汐による理論歪とVLFE活動を比較するため、GOTIC2(Matsumoto et al., 2001)を用いて、各領域での地球潮汐と海洋荷重による歪成分を計算した。
まず琉球海溝でVLFEが集中する5領域を選択し、それぞれの地点で験潮記録による海洋潮汐の位相とVLFE活動を比較した。その結果、南西琉球弧(与那国南方)以外の全ての地域で干潮時に活動が活発化し、満潮時に活動が静穏化する傾向が見られた。活動はM2分潮に対応するものが最も顕著であった。また、VLFE活動を地球潮汐と海洋荷重による理論水平歪と比べた結果、圧縮歪の時期に活発化、拡張歪の時期に静穏化する傾向が見られた。さらに理論歪を用いてプレート面でのせん断応力を計算したところ、せん断応力が最大となる位相のときにVLFE活動が活発化することが明らかになった。琉球海溝で起こるVLFEは低角逆断層型地震である(Ando et al., 2012)ため、せん断応力が強くなることでVLFEは発生しやすいと考えられる。海洋荷重による歪の影響と琉球海溝の走向の関係により、プレート面に働くせん断応力は中~北部琉球弧では振幅が大きく南西琉球弧では小さい。この影響のためにVLFE活動は琉球海溝中北部では潮汐に応答するものの琉球海溝南西部では応答しなかったと考えた。
2002年1月1日~2014年12月31日に琉球海溝で発生したMw3.5以上のVLFEイベントを解析に用いた。使用したVLFEカタログはNakamura and Sunagawa (2015)の手動読み取り法による震源リストである。海洋潮汐の記録として気象庁の検潮記録(那覇・石垣・名瀬)の3点を使用した。また、地球潮汐による理論歪とVLFE活動を比較するため、GOTIC2(Matsumoto et al., 2001)を用いて、各領域での地球潮汐と海洋荷重による歪成分を計算した。
まず琉球海溝でVLFEが集中する5領域を選択し、それぞれの地点で験潮記録による海洋潮汐の位相とVLFE活動を比較した。その結果、南西琉球弧(与那国南方)以外の全ての地域で干潮時に活動が活発化し、満潮時に活動が静穏化する傾向が見られた。活動はM2分潮に対応するものが最も顕著であった。また、VLFE活動を地球潮汐と海洋荷重による理論水平歪と比べた結果、圧縮歪の時期に活発化、拡張歪の時期に静穏化する傾向が見られた。さらに理論歪を用いてプレート面でのせん断応力を計算したところ、せん断応力が最大となる位相のときにVLFE活動が活発化することが明らかになった。琉球海溝で起こるVLFEは低角逆断層型地震である(Ando et al., 2012)ため、せん断応力が強くなることでVLFEは発生しやすいと考えられる。海洋荷重による歪の影響と琉球海溝の走向の関係により、プレート面に働くせん断応力は中~北部琉球弧では振幅が大きく南西琉球弧では小さい。この影響のためにVLFE活動は琉球海溝中北部では潮汐に応答するものの琉球海溝南西部では応答しなかったと考えた。