日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT07] New constraints on the tectonic evolution of Northeast Asia

2015年5月25日(月) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*Jonny Wu(Department of Geosciences, National Taiwan University)、Kyoko Okino(Ocean Research Institute, University of Tokyo)、Cedric Legendre(Institute of Earth Sciences, Academia Sinica, Taiwan)、Gaku Kimura(Department of Earth and Planetary Science of the Graduate School of Science, The University of Tokyo)

18:15 〜 19:30

[SIT07-P02] 台湾緑島に産するマントルかんらん岩捕獲岩の岩石学的特徴

*小丸 千尋1森下 知晃1田村 明弘1荒井 章司1 (1.金沢大学大学院自然科学研究科)

キーワード:捕獲岩, マントル, かんらん岩, ルソン弧, 台湾, 緑島

台湾南東部の緑島は,ルソン弧の北端に位置し,主に安山岩質火山岩,火山砕屑岩からなる火山島である.この緑島およびその南位置する蘭嶼からは安山岩中にかんらん岩捕獲岩が産出することが知られている (Chen, 1988 Acta Geol. Taiwanica).同じくルソン孤からは,バタン島(Arai and Kida,2000 Island Arc; Arai et al., 2004 J. Petrol.),ピナツボ火山(Kawamoto et al., 2013 PNAS),シアヤン島(飯塚義之氏未公表データ)からかんらん岩捕獲岩が産出する.同じ火山孤から複数の地点でかんらん岩捕獲岩が採取されているということは,沈み込み帯におけるマントルウエッジのかんらん岩の一般的・地域別の特徴とその理由を検討することが可能であり,特に北端に位置する緑島は重要である.しかし,緑島のかんらん岩捕獲岩は,Chen (1988)で報告されて以降,詳細な報告がなされていない.そこで,本研究では,台湾緑島に産するかんらん岩捕獲岩の岩石学的特徴を明らかにすることを目的とする.
 緑島に産するかんらん岩捕獲岩は,大半がハルツバーガイトであり,かんらん石ウェブステライトも見られる.ハルツバーガイトにおいて,細粒の部分と粗粒の部分が共存しており,それらの構成鉱物の量比は同一である.細粒の部分は鉱物粒径が1mm未満で,粗粒の部分は数mmである.このように,細粒の部分と粗粒の部分が共存し,それらの構成鉱物の量比が同一である点は,バタン島に産するマントルかんらん岩捕獲岩と類似している(Arai et al. 1996).母岩とかんらん岩捕獲岩の境界部には角閃石が見られる.粗粒な部分のかんらん石のFo値 [=100Mg/(Mg+Fe2+) 原子比] は91-92である.斜方輝石のAl2O3含有量は2.4-3.5wt%で,Mg# [=Mg/(Mg+Fe2+)原子比] は0.90-0.92である.単斜輝石のAl2O3含有量は1.7-4.3wt%,Cr2O3の含有量は約1wt%, Mg#は0.90-0.94であり,TiO2およびNa2Oの含有量は非常に少なく0-0.2wt%である.スピネルのFe3+/(Cr+Al+Fe3+)はおおむね低い値を示し0.2未満であり,Cr# [=Cr/(Cr+Al) 原子比]は0.4-0.6,TiO2含有量は0-0.1wt%である.