[P-CG30] 太陽系小天体研究の新展開

[PCG30-11] はやぶさ2探査機による小惑星サンプル採取に関する研究

*岡本 千里¹、兵頭 拓真²、百武 徹²、澤田 弘崇³、橘 省吾⁴、國中 均³ (1.神戸大学、2.横浜国立大学、3.宇宙航空研究開発機構、4.北海道大学)

キーワード：はやぶさ２, 探査機, クレータリング, 小惑星

はやぶさ2は，太陽系における生命材料物質の探求および進化の解明のため，始原天体であるC型小惑星1999JU3からのサンプルリターンを目指している．1999JU3 の表面状態は未知であるため，サンプル採取手法として，様々な小惑星表面状態に対応できる弾丸射出方式による試料回収方法が考案された．過去の惑星探査機による現在までの観測から，小惑星表面は，粉体層であるレゴリス層で覆われていることが知られている．1999JU3においても，レゴリス層が小惑星表面に広く分布する可能性が高く，レゴリス層からのサンプル採取効率を調べることは重要となる．そこで本研究では，小惑星微小重力下でのレゴリスサンプル採取効率，さらにサンプル回収量推定を行うことを目的とする．
　サンプル採取装置は火薬銃,サンプラホーン,キャッチャから構成される.火薬銃による弾丸衝突によるクレータリングで放出された小惑星サンプルは，サンプラホーンの中を反射しながら上昇し,キャッチャに収納される仕組みとなっている．そこで本研究では，レゴリス層を構成する岩石質の粒子を仮定し，この粒子挙動を実験的・数値解析的に調べた．採取効率およびサンプル採取量見積もりを行う手順として，はやぶさ2と同じ環境を模擬したサンプラーホーンを用いた弾丸射出実験を1 G下において実施し，粒子挙動を実験的にその場観測する．その後，得られた実験データをもとに，小惑星微小重力下でのレゴリスからのサンプル採取量の推定を数値シミュレーションによって行うこととする．本研究により,小惑星微小重力下での採取時の小惑星サンプルの挙動を明らかにすることができた.