日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)

18:15 〜 19:30

[SVC45-P19] 花粉センサーネットワークでとらえられた御嶽山2014年の降灰

及川 輝樹1、*古川 竜太1 (1.産総研 活断層・火山研究部門)

キーワード:御嶽山, 御嶽火山, 2014年噴火, 花粉センサー, 火山灰, センサーネットワーク

全国に展開されている花粉センサーネットワークは,粒子センサーを基として開発されているため,それにより火山灰の降下が観測できることは知られている(例えば,及川ほか,2009;宮地ほか,2010).しかし,その感度や火山灰に対するセンサー値の特性は不明な点が多い.2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火の降灰は,NTTドコモの環境センサーネットワークの花粉センサーで捉えられた.そのセンサー値と降灰分布や降灰量の実測値を比較検討して,降灰時間,センサーの感度,火山灰によるセンサー値の特性などを検討し報告する.
今回の解析には,27~29日にかけて微量でも御嶽山の降灰が認められた地域内とその周辺に設置されたセンサーネットワークの観測値を使用した.実際の降灰量と比較すると,降灰と判断されるセンサー値の変化は2 g/m2以上の降灰量で認められた.花粉センサーの感度は,スギ花粉の粒径(~30 μm)にあわせて調整されている.通常の火山灰粒子はスギ花粉より粗い粒子が多いため,降灰量が少ない場合にはバックグランド以上のカウント数が稼げない可能性がある.そのため,実際の降灰域より狭い範囲でしか,花粉センサーの値は変化しないと考えられる.なお,浅間火山2009年の噴火は,1 g/m2以上の降灰で花粉センサー値が変化した.これは,噴火による細粒粒子の生産量や凝集の効果などで実際に降ってきた火山灰の粒径がことなるため,感度に差が生まれた結果と考えられる.
なお,花粉センサーで捉えられた火山灰粒子は,電圧値と偏光度から概ね35 μm以下で偏光度は0~0.2程度で円形とはかけ離れた形をなすものが多い.
花粉センサーの値から,御嶽火山で2014年9月27日に発生した噴火による降灰は,東側30 ㎞地点には約3時間後,40 ㎞地点には約5時間後に降灰したと判断される.ゆっくりと拡散していった様子が捉えられた.また,北東麓の濁川温泉には27日21時頃に降灰があったと推測される.山梨県の報告では火口から60-80 ㎞離れた山梨県内への降灰は,噴火後6時間程度であることから,センサーで捉えられた値はおおむね正しい降灰時間を示していると判断される.

文献:及川ほか(2009)地球惑星連合2009年大会予稿集,V159-P035.宮地ほか(2010)日大自然科学研究所研究紀要,第2部,45,265-288.