日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG30] 太陽系小天体研究の新展開

2015年5月27日(水) 09:00 〜 10:45 A02 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、中本 泰史(東京工業大学)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)、座長:中本 泰史(東京工業大学)

09:00 〜 09:15

[PCG30-16] チェリアビンスクと仁保隕石シャワーによる炭素に富む粒子の形成

*三浦 保範1 (1.山口、客員(国内外大学))

キーワード:ロシア隕石シャワー, 仁保隕石シャワー, 炭素に富む粒子, 大気爆発, 地球外起源, SiC

1. 地球内外の炭素源について:炭素源は、地球外では恒星(炭素核融合)からダスト、そして多様な天体物(小惑星から惑星)に集積される。炭素の集積場所としては、地球外(恒星や天体内部)と地球内(深部・浅所地表)に大きく二分される。しかし、これらの中間過程では、地球外の炭素が隕石として運ばれるが、本件の隕石シャワー現象は、新しく炭素含有物が形成され、地球外起源物質の炭素源が地上で形成され地球岩石を含まない過程であり、新しい炭素物質源の地球外物質が地球上空で再溶融して形成される成果である [1-4]。

2. 仁保隕石シャワーの炭素含有物:山口市に落下した仁保(Nio)隕石は明治30年(1897年)8月8日深夜10時半頃に九州方面から仁保(Niho)川に沿うように落下して、上空で爆発して隕石シャワーである [2, 4]。研究室の学生とともに落下地の仁保の田畑から多数の隕石小破片(36個)と球粒(1,212個)を回収し、その球粒の分布図からその集中場所が4カ所にしているので、仁保隕石は4 ~5個の大きめな隕石破片が形成している[5]。本件では、隕石シャワー時に大気中で燃焼して、炭素含有物が鉄の多い球粒に形成されている[4]。

3. ロシア隕石シャワーとその炭素含有物の例:ロシアのチェリアビンスク(Chelyabinsk) 隕石は、隕石シャワーとして2013年2月15日早朝(3:22 UT)にチェリアビンスク市に落下目撃され、普通コンドライト(LL5)分析され報告されているが、一部には破砕的に黒色部を含有している。上空で隕石シャワー燃焼(火球)により、約四百個以上の破片が落下軌道に沿って回収されている[4-6]。本件では、炭素含有物のその場ミクロ分析(FE-ASEM)として、3個(資料番号CH-19, 20, 21; 落下地軌道上デブタッキーでJSA採取)と1個(現地の提供: CH-20類似)の計4個を分析観察し隕石の燃焼物と確認した[4]。試料CH-19では、多くの隕石成分と炭素が混合し、鉄の化合物(硫化物、炭化物)と炭素が極端に多い粒子などが形成され、多様な空隙(ガス流出)組織が見られ、激しく燃えて新しい炭素に富む粒子を形成している。 試料CH-20では、元の隕石と燃焼した溶融層が残って炭化しているが、内部には黒色炭素部が少ない。試料CH-21では、本来の隕石組織と粒子がなく、炭素の多い珪素炭化に変化している。試料は、隕石成分が一般的に炭化したもの(CH-20試料)から激しく混合して炭素化進行したもの(CH-19試料)そして元の隕石物質が残らない破片(試料CH-21)まで多様な衝撃的変化を示す。本件では、地上の炭素粒子起源が単独の炭素含有物質(宇宙塵、隕石落下地、人工物)以外に、隕石シャワーで地上到達前に炭素粒子が隕石燃焼で形成されたことが新たに確認できた[4]。

4. まとめ: 本研究成果が、下記のようにまとめることができる[4]。 
1)地球内外での動的な衝撃波過程において、地表で炭素に富む粒子の形成が解明できる。 
2)地球大気中の隕石シャワー(日本・仁保隕石、ロシア・チェリアビンスク隕石)で地球岩石の混入なしで、炭素に富む粒子の大気中形成が電顕観察FESEMで確認できた[4]。
3)本件は、地球の炭素源には地球外炭素含有隕石の上空燃焼があることを新たに見出した[4]。
4)衝撃波災害が、ロシア落下隕石災害(身近な生活影響・物質変化)で新たに報告され、地球と宇宙の接点による物質破壊と変化の大切な情報を多面的に提供している。
5)日本の小惑星探査はやぶさ2号などの宇宙での物質採取と変化について、天体表面に大気燃焼はなくても、人工的な衝撃波による燃焼で炭素含有物を二次的に形成成長して、正確な天体形成の情報評価に影響する懸念がある物質変化を有効的に示すと考えられる[4]。

参考文献:[1] Miura Y. (1996): Shock wave handbook (Springer Tokyo), 1073-1176.[2] Miura Y. and Uedo Y. (2001): LPI Contrib.No.1080 (LPSC32, LPI, USA),#2075.[3] Miura Y. (2012, 2014): 日本惑星科学会講演要旨集, p.1. [4] Miura Y.(2015): LPSC2015, #1666. [5] Planetary New, Chelyabinsk meteorite. LPI-USRA (2013).http://www.lpi.usra.edu/. [6] SBAG (2013): No. 1330.