15:15 〜 15:30
[MGI37-01] IUGONETプロジェクトによる超高層大気研究
キーワード:IUGONET, 超高層大気, メタデータデータベース, データ解析ソフトウェア, 長期データ, 分野横断研究
我々が研究対象としている超高層大気は以下の特徴を持つ。(1)磁気圏、電離圏、中層大気等多圏間の鉛直方向の結合、及び、グローバルな水平方向の循環を考慮する必要がある。(2)取り扱う物理量が極めて多種である。(3)長期データの解析が必要とされる。大学間連携プロジェクト「超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測・研究」(Inter-university Upper atmosphere Global Observation NETwork: IUGONET)は、この超高層大気の長期変動の解明を目的として、平成21年度から6ヶ年計画で実施された。我々は、IUGONET参加機関(国立極地研究所、東北大学、名古屋大学、京都大学、九州大学)が独自に様々な領域で取得した多種多様な超高層大気地上観測データを横断検索できるメタデータデータベース、並びに、描画・解析できるデータ解析ソフトウェアを開発した。メタデータデータベースには、これまでに1千万件以上のメタデータが登録され、横断検索が可能となっている。メタデータフォーマットには主に米国で宇宙物理、太陽物理のデータを記述するために用いられているSPASE(Space Physics Archive Search and Extract)メタデータモデルを採用しており、将来的に衛星データを追加することも容易である。また、IUGONETデータ解析ソフトウェアは、宇宙環境データ解析ソフトウェア(SPEDAS)をベースとしている。SPEDASはIDL(Interactive Data Language)言語で書かれており、ACE、WIND、GOES、THEMIS、Van Allen Probes等複数の人工衛星データと地磁気等の地上観測データを描画・解析することができる。SPEDAS用プラグインソフトを開発・提供することにより、IUGONETの多様な地上観測データをSPEDAS上で様々な衛星データや他機関の地上観測データと共に描画、比較解析することが可能である。講演では、これらIUGONETで開発したツールを用いた超高層大気の研究成果を紹介すると共に、解析上の問題点について議論する。