日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT40] 地球惑星科学データ解析の新展開:データ駆動型アプローチ

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 201A (2F)

コンビーナ:*桑谷 立(東北大学大学院環境科学研究科)、駒井 武(東北大学大学院 環境科学研究所)、宮本 英昭(東京大学総合研究博物館)、小池 克明(京都大学大学院工学研究科 都市社会工学専攻地殻環境工学講座)、堀 高峰(独立行政法人海洋研究開発機構・地震津波海域観測研究開発センター)、長尾 大道(東京大学地震研究所)、座長:上木 賢太(独立行政法人海洋研究開発機構地球内部物質循環研究分野)、桑谷 立(東北大学大学院環境科学研究科)

10:00 〜 10:15

[MTT40-11] スパース性に基づくVLF波動の伝搬ベクトル推定法の検討

*太田 守1笠原 禎也1後藤 由貴1 (1.金沢大学)

キーワード:プラズマ波動, 不良設定問題, 波動分布関数法, スパース性

地球磁気圏の科学衛星によって観測されるプラズマ波動の特性解析は, 波動の伝搬機構だけでなくその伝搬・励起条件に影響を与えるプラズマ環境を把握するために重要である. 特にプラズマ波動の伝搬方向は, VLF波動の伝搬特性を理解するための極めて重要な要素であり, その推定手法の一つとして波動分布関数法が提案されている. この手法は衛星で観測される電磁場波形をもとに, それらに含まれる複数波動の伝搬方向を推定するものであり, 複数の伝搬ベクトルをエネルギー密度分布(波動分布関数)として表現する. 衛星が飛翔する空間のプラズマ波動の分散関係式を用いることで波動分布関数の推定を行うのだが, 一般にこの求解は不良設定問題となるため, 何らかの事前情報を付加することで推定像を一意に定める必要がある. 先行研究においては, 波動分布関数法に用いる事前情報として幾つかのモデルが提案され, 擬似データを用いた性能評価が数多く行われている.
本研究では新たに, 波動分布関数のスパース性を仮定した解法を提案する. このスパース性の仮定は, データを説明するために有効な到来方向が少数であることを考慮したものであり, 従来手法に比べて広がりの小さい良好な推定像が得られることが期待できる. また従来行われてきた評価では, 解析対象とする電磁場波形から推定の入力データとして用いるスペクトルマトリクスが正確に計算可能であることを仮定している. しかし, 実観測データの場合には有限の区間において不規則信号からスペクトルマトリクスを精度良く計算しなければならないという検討すべき課題がある. そのため本研究では, 実観測データにおいて波動分布関数法を適用する場合の問題点の検討を行う.