16:30 〜 16:45
[PPS23-09] 小型ペネトレータによる月内部構造探査と将来への展望
キーワード:ペネトレータ, 月内部構造探査, 月震観測, 熱流量観測, 小型探査衛星
これまで、月の内部構造はApolloでの地震探査、かぐや、GRAILでの重力場探査、またレーザー測距等の測地観測によりその情報が得られてきた。しかし、現状のデータのみからでは月マントル深部や、中心核について十分な制約を与えらず、月深部の物質構造や温度構造については未だ不明確な状態である。また、月の地殻厚さやその構造に関しても、いまだ不確定性を残している。月深部や地殻の構造を明らかにするには、地震計によりその領域を伝播した地震波を高精度で観測する事が必要不可欠である。LUNAR-Aミッションで開発されたハードランディングプローブであるペネトレータには高感度の地震計が搭載されており、月面で新しい地震観測を実現するための有効なツールとして利用できる。
このペネトレータの月面での技術実証、観測実証を行うために、2014年2月にイプシロン3号機に搭載する小型科学衛星へのペネトレータ1本の搭載を提案した(Approachミッション)。この提案では、隕石の衝突発光を地上で観測することで、隕石衝突イベントの位置決定を高精度で行い、その走時データから地殻厚さを決定する事と、現在の月震イベントの活動度をアポロ当時と比較して検証することを月震観測の目的としていた。また、月高地地域での初の熱流量観測も重要なテーマであった。しかしながら、ペネトレータ1本における観測成立の可能性が十分でなかったために、提案自体は非採択となった。
そこで、我々は現在、小型ペネトレータを開発して、小型衛星に2基搭載することで観測の冗長性を確立することを検討している。小型ペネトレータではLUNAR-Aで確立した耐衝撃性技術を継承しつつ、2/3サイズにペネトレータを縮小する事を目指している。本発表では、まず、現在までに検討したペネトレータ小型化の方針と、観測への影響について報告する。その上で、小型ペネトレータ2本を用いて、月震観測、熱量量観測によって、どのような科学成果が得られるか検討した結果について述べる。更に、小型ペネトレータでの観測実証の後に、ペネトレータを利用した月地震観測によって、どのように月の進化や起源についてアプローチしていくか議論する予定である。
このペネトレータの月面での技術実証、観測実証を行うために、2014年2月にイプシロン3号機に搭載する小型科学衛星へのペネトレータ1本の搭載を提案した(Approachミッション)。この提案では、隕石の衝突発光を地上で観測することで、隕石衝突イベントの位置決定を高精度で行い、その走時データから地殻厚さを決定する事と、現在の月震イベントの活動度をアポロ当時と比較して検証することを月震観測の目的としていた。また、月高地地域での初の熱流量観測も重要なテーマであった。しかしながら、ペネトレータ1本における観測成立の可能性が十分でなかったために、提案自体は非採択となった。
そこで、我々は現在、小型ペネトレータを開発して、小型衛星に2基搭載することで観測の冗長性を確立することを検討している。小型ペネトレータではLUNAR-Aで確立した耐衝撃性技術を継承しつつ、2/3サイズにペネトレータを縮小する事を目指している。本発表では、まず、現在までに検討したペネトレータ小型化の方針と、観測への影響について報告する。その上で、小型ペネトレータ2本を用いて、月震観測、熱量量観測によって、どのような科学成果が得られるか検討した結果について述べる。更に、小型ペネトレータでの観測実証の後に、ペネトレータを利用した月地震観測によって、どのように月の進化や起源についてアプローチしていくか議論する予定である。