日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM28] 磁気圏-電離圏ダイナミクス

2015年5月28日(木) 16:15 〜 18:00 302 (3F)

コンビーナ:*三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、長谷川 洋(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、座長:田中 良昌(国立極地研究所)

16:30 〜 16:45

[PEM28-12] 無人システムを利用したオーロラ現象の南極広域ネットワーク観測

*門倉 昭1山岸 久雄1岡田 雅樹1小川 泰信1田中 良昌1元場 哲郎2細川 敬祐3才田 聡子4三好 由純5行松 彰1宮岡 宏1片岡 龍峰1 (1.国立極地研究所、2.ジョンズホプキンス大学・応用物理学研究所、3.電気通信大学大学院情報理工学研究科、4.北九州工業高等専門学校、5.名古屋大学太陽地球環境研究所)

キーワード:無人観測, 広域ネットワーク, オーロラ現象, 共役性

国立極地研究所(極地研)の宙空圏研究グループは、平成28年度(2016年度)から始まる次期南極観測計画期間中に、無人観測システムを利用した、オーロラ現象の地上ネットワーク観測を計画している。本講演では、その計画の概要紹介を行う。
 同グループは、これまで、昭和基地周辺の磁気緯度66度~72度、磁気経度60度~85度の領域内の8か所に無人磁力計網を展開してきている。内陸のドームふじ基地までのルート沿いの3か所(みずほ、中継拠点、ドームふじ)には、英国調査所(British Antarctic Survey (BAS))が開発した無人磁力計が、沿岸域の5か所(アムンゼン湾、H68、インホブデ、スカーレン、セールロンダーネ)には、極地研が開発した衛星通信機能を備えた無人磁力計が、それぞれ設置され、3成分フラックスゲート磁力計による1秒値通年連続観測が行われている。現在実施中の第Ⅷ期南極観測計画では、新たに、磁力計に加えオーロラ全天カメラとGNSS/TEC観測機も備えた「無人オーロラ観測装置」の開発が行われており、2015年度には1式を、昭和基地から約300km東に位置するマラジョージナヤに設置する予定である。次期の第Ⅸ期南極観測計画では、新たに無人オーロラ観測装置1式を、昭和基地から約800km西に位置するセールロンダーネ地域に設置し、さらにその西側に位置するインドのマイトリ基地や南アフリカのサナエ基地とも共同して、磁気緯度62度~72度、磁気経度45度~85度の範囲のオーロラ帯からサブオーロラ帯までに及ぶ領域において、オーロラ現象の広域ネットワーク観測を行うことを計画している。このような観測点網により、以下のような目的の観測を行う:
1.サブストームオンセットメカニズムの解明:
 オンセット領域の周囲にオンセット前後に現れる現象の時間・空間変化を1秒精度で観測し、ERG衛星など磁気圏衛星との同時観測により、オンセットメカニズムの解明を目指す。具体的には以下のような課題に解答を与えるデータを得ることを目的とする。(1)高緯度側からのstreamerは本当にオンセットに関係しているのか?(2)オンセット直前のbeads構造はオンセットに本質的なのか?(3)オンセット領域の局在化はどのように進行するのか?
2.オーロラ現象の共役性の時間空間変動の解明:
 南北両極域での同時観測により、太陽風変動や磁気圏電離圏現象に伴う磁気圏構造の時間空間変化の解明を目指す。特に以下の課題に着目する。(1)サブストーム発達に伴う急激な磁気圏構造変化に対応した共役点位置やオーロラ形態の共役性の変化
3.サブストーム時、ストーム時に発生する波動-粒子相互作用過程の解明:
 オーロラ、磁場、銀河雑音電波吸収(CNA)、VLF波動、ULF波動の同時観測により、粒子降下と波動現象に見られる相関関係とその時間空間変化の解明を目指す。特に以下の課題に着目する。(1)オンセット時のPi2や Pi1周期の磁場変動と粒子降下変動との関係、(2)サブストーム時のインジェクションと、NSオーロラ、脈動オーロラ、Pi1C波動、VLF波動発達との関係、(3)ストーム時のリングカレントや放射線帯の変動と、オーロラ粒子降下、高エネルギー粒子降下、VLF波動、ULF波動の発達との関係。