日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)

18:15 〜 19:30

[SVC45-P16] 御嶽山の2014年の火山活動概要

*中村 政道1地震火山部 火山課1 (1.気象庁)

キーワード:御嶽山, 噴火, 火山性微動, 傾斜変動, 二酸化硫黄

御嶽山では,2014年9月27日に噴火が発生した.この噴火を始めとする2014年に気象庁で観測した御嶽山の火山活動データについて概要を報告する.
噴火は9月27日11時52分頃発生したものとみられる.三岳黒沢の遠望カメラでは山頂の状況は視界不良のため確認できなかったが,滝越(中部地方整備局設置)の監視カメラでは地獄谷方向へ流下する火砕流を確認した.気象庁では,この噴火発生により火山活動が高まったと判断し噴火警戒レベルを1から3に引き上げた.
翌9月28日に中部地方整備局及び陸上自衛隊の協力により実施した上空からの観測により,この噴火が1979年噴火の火口列の南西側に新たに生成された火口列から発生したこと,火砕流が新たな火口列から南西側約2.5km,北西側約1.5km流下したとみられること等を確認した.
新たな火口列からの噴煙は噴火発生の翌28日以降、遠望カメラで確認できるようになり,灰白色から乳白色の噴煙の噴出が継続したが,10月10日頃には白色の噴煙となった.噴煙の高さは9月28日に最高で火口縁上800mを観測したが,その後は次第に低くなり,11月以降は一時的な高まりを除くと概ね100から300mで推移している.
地震活動は2014年8月までは低調であった.9月10日夜から火山性地震が多発した.9月12日以降、火山性地震の回数は減少したが,9月14日頃からは低周波地震が発生し始めた.噴火発生直前の11時41分頃から連続的に火山性微動が発生し,地震活動も噴火発生前後で活発となった.連続的な火山性微動は振幅の増減を繰り返しながら10月6日頃まで継続した.火山性地震の回数は9月27日をピークにその後次第に減少した.11月以降は1日あたり数回から十数回で推移している.これら火山性地震や火山性微動はいずれも剣ヶ峰山頂周辺直下で発生したものとみられる.
剣ヶ峰山頂の南東側約3kmに設置している傾斜計では,噴火発生直前の11時45分頃から山側上がりの急激な変動がみられ,11時52分頃反転し,その後緩やかに山側下がりが継続した.
噴火発生直後から火山ガス(二酸化硫黄)の放出量の観測を開始した.2014年9月28日には1日あたり1,000トン前後を観測したが,その後減少し,11月以降は概ね200から300トン/日で推移している.
これらの観測データによると,2014年9月27日の噴火前後で火山活動が高まり,その後次第に低下しつつあるが,2014年8月以前の活動のレベルには至っていない.このため,引き続き観測を強化しているところである.