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[SVC47-07] 0.4Ma以降における富士火山および隣接する諸火山のマグマ供給系とテクトニクスの進化
キーワード:富士火山, マグマ供給系, テクトニクス
0.4Ma以降の富士火山および隣接する愛鷹,先小御岳,箱根,伊豆東部(天城)などの諸火山のマグマ供給系の進化は,フィリピン海プレート北端部における島弧衝突テクトニクスと密接な関係を有しているものと考えられる.0.4Ma以降の富士火山およびこれらの隣接する諸火山のマグマ供給系の進化史は,Stage-1からStage-3の3期に区分される.Stage-1(0.40~0.27Ma)では,玄武岩質~安山岩質の愛鷹,先小御岳,箱根,天城などの成層火山が形成されたが,このステージではフィリピン海プレートは,駿河トラフと神縄断層からの沈み込み運動を続けていた.Stage-2(0.27~0.13Ma)では,丹沢ブロック上に形成された愛鷹および先小御岳の両成層火山の活動がみられ,その下には駿河トラフから沈み込むフィリピン海プレートが沈み込みを続けていた.このステージの箱根火山は,成層火山群の形成から,大規模珪長質噴火活動とカルデラの形成,および安山岩質~珪長質の独立単成火山群とそれに関連した平行岩脈群の活動へと変化しており,NNW-SSE方向に延びた地溝帯がそれに直交する方向の引張テクトニクス場の下に形成されていた.このステージには,箱根火山を載せたフィリピン海プレート北端部で丹沢ブロックとの衝突・固着化が進み,沈み込み運動はほぼ停止していたらしい.そのために,駿河トラフから西方への沈み込みによって生じた歪は,箱根火山における地溝帯の形成によって解消されていた可能性が高い.Stage-3(0.13~現在)に入ると,フィリピン海プレート北端部と丹沢ブロックとの固着化はさらに進行し,箱根火山地域には,地溝帯に代わって箱根火山の中心部を縦断するように左横ずれ断層系(丹那・平山断層)が発達するようになり,そのプルアパート部に中央火口丘火山群が形成された.一方,丹那・平山断層系の東方ブロックは北上するように移動し,そのために天城火山地域は引張テクトニクス場におかれて伊豆東部単成火山群が形成された.神縄断層での固着化が進んだため,駿河トラフから西方に沈み込むフィリピン海プレートによって生じた歪は,富士火山直下の深部に開口性割れ目が発達することで解消されるようになった.このことが,富士火山で大量の玄武岩質マグマが噴出する原因となったものと考えられる.