日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

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[U-05] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2015年5月25日(月) 09:00 〜 10:45 103 (1F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、谷口 真人(総合地球環境学研究所)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)

10:25 〜 10:45

[U05-04] 気候と生態系の相互作用継続観測のFuture Earth活動としての重要性

*谷 誠1太田 岳史2 (1.京都大学農学研究科、2.名古屋大学生命農学研究科)

キーワード:Future Earth, 気候と生態系の相互作用, タワーフラックス観測, 生物資源政策, シベリアカラマツ林, 野外観測の継続性

地球の気候システムは、海陸生態系との相互作用によって動的平衡が保たれている。例えば、東シベリアカラマツ林でのタワー観測によると、少雨の夏でさえ一定の水蒸気を大気に返すことで、自らの生育に必要な湿潤気候を大陸奥地に維持している。しかし、人間活動を原因として、温暖化、永久凍土融解、その生態系応答等が生じており、カラマツ林と気候との動的平衡はシフトしてゆく可能性がある。また、カラマツ林等の生態系は貴重な生物資源でもあるから、森林伐採インパクトがこのシフティングに影響を及ぼす。
したがって、自然過程に関するサイエンス知見は環境政策にも生物資源政策にもリンクしており、国レベルの政策がこのリンクを認識すべきである。10年程度しか継続できていないタワーフラックス観測を基盤とする「気候と生態系の相互作用長期観測」を50年以上組織的に継続することが必須である。
しかし、その具体策は、気象や河川、衛星観測その他の業務観測に対して別途フラックス観測予算を要求するところにあるのではない。予算獲得競争ではなくAnthoropoceneと呼ばれる 地球環境と人間社会の関係の変化を受けた生物圏観測の包括的な再編こそ、Transdisciplinaryを掲げるFuture Earthの中心となるべきなのではないだろうか。