日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-01] ジオパークへ行こう

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

18:15 〜 19:30

[O01-P37] 紫峰と霞ケ浦のジオが紡ぐ悠久の歴史と未来へ引き継がれる人々の暮らし

*柴原 利継1 (1.筑波山地域ジオパーク推進協議会)

筑波山は広大な関東平野の北東部に位置し、同平野からは希有な独立峰の眺望を有する。朝夕に山肌の色を変えるところから、紫峰とも称される。山頂部は約7,500 万年前に貫入・隆起した硬い斑れい岩によって急峻な双峰を成し、山腹・山麓はその岩屑や花崗岩の風化岩屑により広く覆われ、ゆるやかに裾をひく美しい山容を有する。加えて、周辺地域は関東平野の北東端をなし、第4紀の海水準変動等が広い台地・低地とともに、霞ヶ浦を中心とする水郷の風光明媚な景観をもたらしている。
それら「ジオの恵み」と相まって、筑波山地域は、古代から「西の富士、東の筑波」と称される関東のランドマークとして、世界文化遺産に指定された富士山と並び、山岳信仰や多くの日本文化・芸術の発祥の舞台となってきた。
また、霞ヶ浦の水運、石材・焼物業などに代表されるジオが織りなす人々の活動は、江戸(東京)と近接して、独自の発展を遂げてきた。
特に明治期には国会議事堂や日本銀行、日本橋などの建築に稲田石等が使用されるなど日本の近代化を支えた。現代は、山麓の台地上に筑波研究学園都市が建設されるなど、国内外の新しい活力を得て、未来の創造へと歩みを進めている。
地質・地形の壮大な時間軸から、本地域の自然、歴史・文化、人々の営みを眺めてみても一見繋がりは見えにくい。
しかし、そこに様々な補助線を引いてみることにより、わくわくするほど楽しく、愛らしく、魅力的な繋がりが見えてくる。
筑波山地域ジオパークにおいては、本地域のジオが織りなす悠久のストーリーを一連のものとして眺め、再発見するとともに、地域内外の人々とともにその価値を共有し、未来に引き継いでいくことを主眼として活動を行う。