日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS23] 月の科学と探査

2015年5月25日(月) 14:15 〜 16:00 A02 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*長岡 央(早稲田大学先進理工学部)、諸田 智克(名古屋大学大学院環境学研究科)、Masaki N Nishino(Solar-Terrestrial Environment Laboratory, Nagoya University)、本田 親寿(会津大学)、長 勇一郎(立教大学理学部)、座長:石原 吉明(宇宙航空研究開発機構 月・惑星プログラムグループ 研究開発室)、山本 聡(国立環境研究所環境計測研究センター)

15:45 〜 16:00

[PPS23-07] 月面における炭素含有物の衝突過程形成の研究

*三浦 保範1 (1.客員(国内外大学))

キーワード:月, 炭素含有物, 衝突, 揮発性, 実験, 大気・水圏

はじめに:
太陽系(地球型惑星天体)において、大気ガスや海水を持つ惑星と月などの大気圏を持たない天体での揮発性炭素を含有する物質を統一的に研究することが必要である。最近筆者は、大気や海水天体の有無とそれらの炭素含有物質からの統一的な観点から研究を行っている[1-4]。本件では、炭素含有物の衝突過程形成を、大気圏を持たない天体(月・小惑星・水星)において、特に月面について報告する [3]。

月の揮発性元素:
微細なダスト粒子から合体成長して天体サイズになる過程で、揮発性元素は月にも一般的に残存する。しかし月は火星惑星サイズに近いが、特異な衝突散逸過程で揮発性物質が生成時に残存できなかったと考えられる[1-3]。

炭酸ガス大気生成の問題点:
水蒸気は冷却すると常温液体相になる。しかし炭酸ガス大気は冷却しても常温でも気体状態であるため、高温大気を実験を行い[2,3]、何かに取り込まない限りそのままであることが分かる。その意味で、火星や金星の炭酸ガスも液体相の存在(既存)が前提になると、全球的海水圏の形成は困難となる[3]。したがって月は、内部に炭素含有揮発物が残存している天体である[3]。

月面の炭素含有物質の形成:
月は大気圏を持たない天体なので、直接に月面に炭素物質が大気圏と地表衝突による二段炭素ガス形成ができないため、分離炭素粒子の高圧系の二段階成長ができにくい[3]。内部に局在する(初生的と大気惑星破片起源の)微量炭素含有物が継続的隕石衝突で粗大化が表層内部で可能である。月面の炭素含有物は、衝撃波過程が関与した炭素含有物(ガラス、炭素、炭化物、炭酸塩など)であるが微量局在したものを成長することが今後可能である[1-3]。

月面の海水圏の問題:
大気圏のある惑星(火星・金星)で海水圏を形成することは全球的に一般的に困難であるが、方法論的には二過程が起これば可能である[3]。それに比べて、大気圏の無い月面(水星、小惑星)での海水圏形成は全球的には更にもっと困難であるが、効果的な方法(天然と人工的)で大気圏をまず形成できた場合は将来的に可能な提案ができる[3]。 

まとめ:
1) 月などの天体に大気圏や海水圏を形成することを、炭素含有物質作成法の実験成果から考察した。
2) 炭酸ガス大気は、高温状態でも減少または低温化することが、室内実験可能である。
3) 月面では分離した炭素含有粒子がガラス、炭素、炭化物、炭酸塩などに含まれ、隕石衝突の継続でマクロ成長が可能である。

参考文献:[1] Miura Y. (2011): LPSC 42(2011), #2817.
[2] Miura Y. et. al. (1996) Antarctic Meteorites XX1(Tokyo), 107-110.
[3] Miura Y. (2015): LPSC2016 (LPI), #1811, #1666.
[4] Miura Y. (2009): Patent application.