17:45 〜 18:00
[HDS27-24] 巨大山体崩壊による津波発生リスクの検討―桜島崩壊シナリオにおける被害推計―
キーワード:津波, 山体崩壊, 地すべり, シミュレーション, 桜島, 被害推計
火山活動によって山体が崩壊し海域に大量の土砂が流入すると、巨大な津波を発生させる場合がある。我が国では、江戸時代以降、少なくとも3回の山体崩壊による津波が発生しており、数百名以上の犠牲者がでている。そのうち最も大きな被害に至ったものは、寛政4年(1792)に雲仙火山の眉山崩壊に伴って発生した津波である。この津波は、島原半島および、その対岸の熊本に達し、1万5000人にも及ぶ犠牲者を出した。山体崩壊に伴う津波の発生頻度は地震性のものと比較すると少ないものの、一度発生すると巨大な災害に発展する。100以上の活火山を有する我が国において、山体崩壊による津波発生のリスクは、決して無視できるものではない。そこで本研究では、我が国における活火山を対象に、津波発生リスクの検討を行うとともに、リスクの高い山体について、山体崩壊とそれに伴う津波のシミュレーションを実施し、詳細な被害推計を行った。
まず津波の発生する可能性のある活火山を抽出するため、日本の活火山に対して、山体が崩壊した場合の土砂到達範囲を簡易式より算定した。そして、土砂到達範囲をGISでプロットし、海域データと重ねることで、崩壊土砂が海域にどの程度到達するかを検討した。さらに対象火山周辺の海岸における人口を検索することで、人的被害の発生しやすい火山を抽出した。以上の崩壊土砂の到達範囲と周辺人口に、活火山の活動度を考慮し、津波被害リスクの順位づけを行った結果、鹿児島県桜島におけるリスクが最も高いことがわかった。そこで次に、桜島を対象に山体崩壊とそれに伴う津波のシミュレーションを行い、詳細な検討を実施した。
桜島山体崩壊のシミュレーションには、栁澤ら(2014)による地すべり・津波統合モデルを用いた。崩壊土砂量については、1640年に北海道駒ヶ岳で発生した山体崩壊の土砂量を仮定した。シミュレーションの結果によると、桜島で山体崩壊が発生した場合、崩壊より3分後には、最悪1,000人以上が土砂に埋もれ、50m以上の津波が鹿児島市沿岸部に到達すると予測された。また、その津波による浸水範囲には、約16万世帯、34万人が含まれると試算された。現在、山体崩壊による津波の防災対策については、ほとんど検討されていないのが現状である。しかしながら、一度発生すると巨大な被害に至ることから、最悪のシナリオに備えた防災対策の検討も必要であるといえる。
まず津波の発生する可能性のある活火山を抽出するため、日本の活火山に対して、山体が崩壊した場合の土砂到達範囲を簡易式より算定した。そして、土砂到達範囲をGISでプロットし、海域データと重ねることで、崩壊土砂が海域にどの程度到達するかを検討した。さらに対象火山周辺の海岸における人口を検索することで、人的被害の発生しやすい火山を抽出した。以上の崩壊土砂の到達範囲と周辺人口に、活火山の活動度を考慮し、津波被害リスクの順位づけを行った結果、鹿児島県桜島におけるリスクが最も高いことがわかった。そこで次に、桜島を対象に山体崩壊とそれに伴う津波のシミュレーションを行い、詳細な検討を実施した。
桜島山体崩壊のシミュレーションには、栁澤ら(2014)による地すべり・津波統合モデルを用いた。崩壊土砂量については、1640年に北海道駒ヶ岳で発生した山体崩壊の土砂量を仮定した。シミュレーションの結果によると、桜島で山体崩壊が発生した場合、崩壊より3分後には、最悪1,000人以上が土砂に埋もれ、50m以上の津波が鹿児島市沿岸部に到達すると予測された。また、その津波による浸水範囲には、約16万世帯、34万人が含まれると試算された。現在、山体崩壊による津波の防災対策については、ほとんど検討されていないのが現状である。しかしながら、一度発生すると巨大な被害に至ることから、最悪のシナリオに備えた防災対策の検討も必要であるといえる。