14:15 〜 14:30
[MTT05-11] 海洋GNSSブイアレイを用いた総合防災システムの提案
キーワード:GNSS, GNSS ブイ, 津波, 海底地殻変動, 気象, 電離層
GNSSブイによる津波の早期検出の手法が15年以上にわたって開発されてきた.この方式はGPS津波計として10cm程度の津波の検出に成功したほか,国土交通省のNOWPHASシステムに採用され,全国に設置が進められている.2011年3月東北地方太平洋沖地震の際にもこのシステムで津波が検知されて通報にも使われた.本講演ではこのシステムを拡張し,海洋にGNSSブイのアレイを設置し,津波だけでなく海底地殻変動,大気中の水蒸気量,電離層の総電子数などを計測することによって,さまざまな自然災害の軽減のための監視に活用しようとする試みを提案する.
現在のGNSSブイを用いた津波の計測では陸上に地上局を設置し,リアルタイムキネマティック(RTK)方式を用いることでブイの位置を高精度に推定するという方式を用いている.この方式では陸上に基地局を置く必要があり,基線距離もせいぜい20㎞までであった.しかし,最近のGNSS技術の発達により,基線方式ではなく,単独測位で1㎝程度の精度でリアルタイムに移動体測位を行う手法が開発されてきた.この方式を用いることで,遠距離の沖合でもGNSSブイの位置計測を行える可能性が出てきた.
GNSSブイの応用としては,第一に海底地殻変動計測への応用が考えられる.現在,海底地殻変動計測は船舶を用いて行われているが,GNSSブイを用いて実施することができれば海底地殻変動を連続して実施できることになり,海溝型巨大地震の発生メカニズムの解明に大きく寄与することができると期待される.また,ブイ上でのデータ解析により,大気中の可降水量や電離層の電子密度を陸上での計測と同程度の精度で推定できれば,気象や電離層の擾乱の把握や将来予測に大きな貢献ができると期待される.なお,このために必須の開発研究としては,大深度・遠洋でのブイの安定的な運用方式の開発と共に,陸上からの精密衛星暦・時計情報のブイへのリアルタイム伝送及びブイから陸側局への安定したデータ伝送などの問題を解決する必要がある.このための衛星を用いた実験を行うことを計画中である.
この方式が実用に供されれば,例えば西太平洋の日本の排他的経済水域内に数十点のGNSSブイアレイを設置して観測を実施することで上記に挙げたような総合的な防災システムが構築できると共に,基礎的な固体・気象・電離層研究のためのインフラとしても活用できることになると期待される.
現在のGNSSブイを用いた津波の計測では陸上に地上局を設置し,リアルタイムキネマティック(RTK)方式を用いることでブイの位置を高精度に推定するという方式を用いている.この方式では陸上に基地局を置く必要があり,基線距離もせいぜい20㎞までであった.しかし,最近のGNSS技術の発達により,基線方式ではなく,単独測位で1㎝程度の精度でリアルタイムに移動体測位を行う手法が開発されてきた.この方式を用いることで,遠距離の沖合でもGNSSブイの位置計測を行える可能性が出てきた.
GNSSブイの応用としては,第一に海底地殻変動計測への応用が考えられる.現在,海底地殻変動計測は船舶を用いて行われているが,GNSSブイを用いて実施することができれば海底地殻変動を連続して実施できることになり,海溝型巨大地震の発生メカニズムの解明に大きく寄与することができると期待される.また,ブイ上でのデータ解析により,大気中の可降水量や電離層の電子密度を陸上での計測と同程度の精度で推定できれば,気象や電離層の擾乱の把握や将来予測に大きな貢献ができると期待される.なお,このために必須の開発研究としては,大深度・遠洋でのブイの安定的な運用方式の開発と共に,陸上からの精密衛星暦・時計情報のブイへのリアルタイム伝送及びブイから陸側局への安定したデータ伝送などの問題を解決する必要がある.このための衛星を用いた実験を行うことを計画中である.
この方式が実用に供されれば,例えば西太平洋の日本の排他的経済水域内に数十点のGNSSブイアレイを設置して観測を実施することで上記に挙げたような総合的な防災システムが構築できると共に,基礎的な固体・気象・電離層研究のためのインフラとしても活用できることになると期待される.