日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT43] ソーシャルメディアと地球惑星科学

2015年5月26日(火) 16:15 〜 17:00 203 (2F)

コンビーナ:*天野 一男(茨城大学理学部地球生命環境科学科)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、伊藤 昌毅(東京大学生産技術研究所)、座長:天野 一男(茨城大学理学部地球生命環境科学科)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)

[MTT43-01] My JpGU:日本地球惑星科学連合会員のためのソーシャルネットワークサービス

*近藤 康久1小口 高2村山 泰啓3川幡 穂高4 (1.総合地球環境学研究所、2.東京大学空間情報科学研究センター、3.情報通信研究機構、4.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:日本地球惑星科学連合, ソーシャルネットワークサービス, 学術コミュニケーション

日本地球惑星科学連合(JpGU)は地球惑星科学に関連する50の学協会の連合体であり、9,000名を超える会員を擁する、日本でも有数の大規模学会である。2014年大会には7,046名の参加登録があり、5日間で194のセッションが行われ、口頭発表2,428件とポスター発表1,378件が行われた。このように大規模な学会になると、会員数が数百名規模の小規模学会に比べて研究者間のコミュニケーションが希薄になる傾向がある。JpGUでは2011年にTwitterとFacebookのアカウントを開設し、2013年からはスマートフォン向け大会アプリを導入したが、情報伝達は事務局から会員への一方向にとどまっていた。そのため、特に大会期間とその前後に、会員間の双方向的なコミュニケーションを支援・促進するようなソーシャルネットワークサービス(SNS)への潜在的な需要があるものと判断された。
 また、JpGUは2013年に完全オープンアクセスのオンライン英文査読誌Progress in Earth and Planetary Science (PEPS; http://progearthplanetsci.org/index_j.html)を創刊した。読者と投稿者を増やすための方策として、会員向けにPEPSの論文情報を重点的に配信するサービスが必要であると判断された。
 以上の2つの動機から、JpGUでは会員が互いに研究内容を紹介しあうためのサイエンス・コミュニケーション・ツールとして、会員向けSNS「My JpGU」(http://mypage.jpgu.org)を開発した。JpGUの会員になるとMy JpGUのアカウントが与えられ、個人のページに、研究室ウェブサイトやTwitter、Facebook、LinkedInなどの既存SNS、Researchmap(科学技術振興機構が提供する日本の研究者SNS; http://researchmap.jp)などへのリンクを登録できる。個人情報の公開範囲は一般公開、メンバー(すなわちJpGU会員)に限定公開、公開しない、のいずれかを選択することができる。くわえて、個人ページには専門分野、研究トピック、業績リスト、資料、画像、動画URLなどを掲載することができる。業績リストについては、国際的な研究者の一意識別子であるORCID(http://orcid.org)を用いて、ORCIDに登録された業績情報との相互一括データ交換を実現した。資料、画像、動画は大会での研究発表に用いたプレゼンテーションファイルをアップロードすることを想定している。また、PEPS掲載論文を検索できる機能や、注目の研究者にブックマークをつける機能も実装した。
 2014年3月のリリースから2015年1月までの10か月間に、2,762名のユニークユーザがMy JpGUのウェブサイトを訪問した。そのうちの93%は日本からのアクセスであったが、米国、ロシア、ブラジル、ドイツ、オランダ、中国などからのアクセスもあった。My JpGUの個人ページを編集した会員は55名で、ORCIDとのデータ連携をおこなったユーザは26名であった。まだまだ利用者が少ないので、情報システム委員会を中心として一層の利用促進と機能改善を図っていきたい。