日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32] 地球掘削科学

2015年5月24日(日) 09:00 〜 10:45 304 (3F)

コンビーナ:*斎藤 実篤(独立行政法人海洋研究開発機構)、道林 克禎(静岡大学理学研究科地球科学専攻)、廣野 哲朗(大阪大学 大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)、梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、座長:梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、黒田 潤一郎(独立行政法人海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)

10:30 〜 10:45

[MIS32-07] オマーン・オフィオライト国際陸上科学掘削計画紹介

敬礼人 笛太1、*森下 知晃2 (1.ラモントードハティ地球観測所、2.金沢大学)

キーワード:オマーンオフィオライト, 中央海嶺, 島弧, 蛇紋岩化, 炭酸塩岩化, 地下生命圏

オマーン王国に露出するサマイル・オフィオライトは世界最大で,堆積物から上部マントルに相当するかんらん岩体までの保存状態・露出が良く,世界で最も研究されている白亜紀に形成されたオフィオライトである。そのため,海洋プレートの形成プロセスに加え,地表条件での現在進行中の低温変成・変質プロセスを解明するための貴重な天然の実験室であるといえる。現在,このサマイル・オフィオライト南部における国際陸上科学掘削計画が採択され,実行に向けて動き始めている。日本からは,荒井章司,道林克禎,宮下純夫,高澤栄一,海野進の各氏が主要共同研究者として名を連ねている。本陸上掘削による科学目標を次に示す。海洋底海嶺軸下のプロセスに関連したの科学目標は,1)マントル上昇は能動的なのか受動的なのか 2)マントル中でのメルトの発生と移動,3)地殻?マントル境界でのメルトの集積,4)海嶺軸近傍での熱水循環による熱水変成・変質作用と下部地殻の形成との関係,5),貫入岩?はんれい岩境界での火成・変成作用である。また,オフィオライトの基底部の変成岩が,オフィオライトが衝上する際に形成されたと解釈されていることから, 変成岩とオフィオライト基底部との関係は,プレート沈み込み直上のマントルウエッジ環境相当と考えらえる。そのため,沈み込む堆積物相当層から上盤のかんらん岩への元素供給に関する情報を得ることも科学目標の一つである。さらに,現在進行中のマントル起源かんらん岩で起きている炭酸塩岩化,蛇紋岩化,水文学の解明と,これらに関係した地下生命圏の解明も目指す。発表では,オマーン・オフィオライト陸上掘削の科学目標に加え,現地の様子や実行的な計画,掘削に付随する教育目標などについて紹介する。
申請書のリードプロポーネントはPeter B. Kelemen, Jurg M. Matter, Damon A. Teagleの3名。他の主要な共同研究者は、Raeid Abed, Ali Al Rajhi, Shoji Arai, Wolfgang Bach, Kier Becker, Francoise Boudier, Georges Ceuleneer, Laurence Coogan, Kathyrn Gillis, Marguerite Godard, Steve Goldstein, Philippe Gouze, Greg Hirth, Albrecht Hofmann, Benoit Ildefonse, Bjorn Jamtveit, Frieder Klein, Jurgen Koepke, Charles Langmuir, Chris MacLeod, Craig Manning, Katsu Michibayashi, Jay Miller, Sumio Miyashita, Sobhi Nasir, Adolphe Nicolas, Matthew Schrenk, Barbara Sherwood-Lollar, Everett Shock, Satish Singh, Rob Sohn, Martin Stute, Eiichi Takazawa, Alexis Templeton, Susumu Umino, Jessica Warrenである。