18:15 〜 19:30
[HDS25-P07] 深層崩壊に伴う谷の発達過程に関する研究
キーワード:深層崩壊, 斜面安定解析, 土質条件, 平成23年台風12号, 紀伊半島
平成23年に発生した台風12号により、紀伊半島を中心に大規模な深層崩壊が多数発生した。紀伊半島には四万十帯(付加体)が広く分布しており、深層崩壊はこのような付加体で多く発生することが知られている。また、台風12号による深層崩壊の多くは、流れ盤斜面で発生しており、このような地質構造も深層崩壊の素因となった可能性の一つと考えられる。しかしながら、深層崩壊の発生に関する物理過程に則したモデル化は十分に行われていないのが現状である。
著者らはこれまでに、天然ダムの越流侵食に伴う水みちの拡幅過程を、河床侵食に伴う土塊の力学的なバランスの変化による側岸崩落により表現できるものと仮定し、土塊の力学的なバランスを内部応力や土質強度に基づいて定式化した。提案モデルにより天然ダムの水みちの側岸勾配と比高の関係を良好に再現できたことから、基本的に計測可能な物性値を用いて天然ダムの水みちの拡幅過程を表現できる可能性を示した。
一方、上記のモデルは、侵食による河床低下に伴う土塊の力学的なバランスを評価したものであるが、河川沿いで発生する深層崩壊が斜面の隆起に伴う土塊・岩塊の力学的なバランスが失われた結果生じると仮定すれば、河床低下と尾根部の隆起の速度は大きく異なるものの、深層崩壊に伴う谷の発達過程についても同様なモデルで表現できる可能性がある。そこで本検討では、平成23年台風12号により発生した深層崩壊や崩壊非発生斜面を対象に、台風12号前後に計測された詳細な地形データを用いて側岸勾配と比高等を整理し、モデルの適用性の検討を行った。
その結果、地質構造・土質強度が概ね等しいと考えられる領域では、提案モデルにより十津川流域の河道の側方斜面の勾配と比高の関係を良好に再現できた。このことは、基本的に計測可能な物性値を用いて深層崩壊の危険斜面と規模を予測できる可能性を示唆していると考えられる。
著者らはこれまでに、天然ダムの越流侵食に伴う水みちの拡幅過程を、河床侵食に伴う土塊の力学的なバランスの変化による側岸崩落により表現できるものと仮定し、土塊の力学的なバランスを内部応力や土質強度に基づいて定式化した。提案モデルにより天然ダムの水みちの側岸勾配と比高の関係を良好に再現できたことから、基本的に計測可能な物性値を用いて天然ダムの水みちの拡幅過程を表現できる可能性を示した。
一方、上記のモデルは、侵食による河床低下に伴う土塊の力学的なバランスを評価したものであるが、河川沿いで発生する深層崩壊が斜面の隆起に伴う土塊・岩塊の力学的なバランスが失われた結果生じると仮定すれば、河床低下と尾根部の隆起の速度は大きく異なるものの、深層崩壊に伴う谷の発達過程についても同様なモデルで表現できる可能性がある。そこで本検討では、平成23年台風12号により発生した深層崩壊や崩壊非発生斜面を対象に、台風12号前後に計測された詳細な地形データを用いて側岸勾配と比高等を整理し、モデルの適用性の検討を行った。
その結果、地質構造・土質強度が概ね等しいと考えられる領域では、提案モデルにより十津川流域の河道の側方斜面の勾配と比高の関係を良好に再現できた。このことは、基本的に計測可能な物性値を用いて深層崩壊の危険斜面と規模を予測できる可能性を示唆していると考えられる。