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[SVC45-01] 噴火および土石流に伴う微動の規模指標
火山では、噴火や土石流(ラハール)などに伴って微動が観測される。微動シグナルを定量化することは、これらの現象のダイナミックな発生過程の理解と監視において重要である。微動の規模指標には reduced displacement (RD) がこれまで用いられてきた。しかしながら、(1) RDの推定の際に用いる周波数が定義されていない、(2) 微動の継続時間がRDでは考慮されていない、といった問題がある。本研究では、高周波の地震波振幅に基づいた微動の新たな規模指標を提案する。まず高周波振幅を用いた震源決定法(ASL)を用いて微動の震源決定を行い、5-10 Hz の周波数帯での10秒窓の平均振幅から微動の継続時間中の最大の震源振幅 (SA) を推定する。さらに5-10 Hz のバンドパスフィルターをかけたエンベロープ波形に、決定された震源位置から観測点までの幾何および非弾性減衰の補正を行い、時間積分を行う。さらにその波形から微動が継続している間のオフセット値を見積もる。これを全震源振幅(TSA)と呼ぶ。噴火や土石流に伴う微動は質量移動により発生していると考えられるため、SAとTSAはそれぞれ質量流量の最大値と全質量に関連している量であると推定される。これらの量をエクアドルのトゥングラワ火山とコトパキシ火山で発生した微動について推定した。その結果、土石流に伴う微動では、TSAがSAに対して線形に増加するのに対して、噴火に伴う微動では、TSAはSAに対して指数関数的に増加するという関係が見られた。SAとTSAは、微動の規模を定量的に評価し、かつ異なる火山で発生した微動の規模を比較できる一般的な指標と考えられ、微動の発生プロセスの理解や監視に活用することが期待できる。