18:15 〜 19:30
[SSS26-P05] 富士山の固有振動特性の評価と火山モニタリングへの応用可能性に関する研究
キーワード:富士山, 振動特性, 火山, 微動観測
富士山は、1707年の宝永噴火以来、約300年平穏を保っている。しかし、その平均噴火間隔は120年程度であるため、長期予測の観点からはいつ噴火してもおかしくない時期に達している。噴火した場合、その経済的・社会的影響は計り知れず、噴火を予知することが火山防災を検討する上で大変重要になってくる。
本研究では、富士山の活動のモニタリングの方法として、建物などの振動特性評価に用いられている、常時微動測定に基づく手法を火山に適用することを試みた。まず、富士山において微動観測を実施した。観測は2012年8月6日から9日に実施し、富士山の南斜面において、2合目及び5~10合目の計7点で同時観測を行った。観測には、3成分加速度計とデータロガーを用いた。得られた観測記録からスペクトル解析を行った結果、NS’成分では0.21Hz、EW’成分では0.20Hzで卓越振動数が確認できた。また、卓越振動数における振動モード形や卓越振動数付近の周波数帯における相互相関関数からは、6合目を境に振動が変化していることが示唆された。これは、6合目以下では低次モードよりも高次モードの影響が大きくなっていることが起因していると考えられる。
固有値解析では、数値標高モデルデータを用いてモデルを作成して解析を行った。その結果、1次固有振動数は0.22Hzとなり、観測結果とほぼ同じ結果が得られた。このことから富士山の1次固有振動数は0.20~0.22Hzであると推定できた。また、マグマを考慮したモデルで固有値解析を行った。その結果、振動モード形の変化または高次モードの寄与率の変化からマグマの貫入を検知できる可能性が示された。しかし、そのためには観測で正しく固有振動数を把握できるほどの精度が求められる。また、火山モニタリングへ向け現実的に評価するためには、マグマの位置や大きさ、物性等さらなる検討が必要である。
本研究で観測を行うにあたり、観測に参加していただいた方には多大なるご協力をいただきました。また、山小屋の方々にも大変お世話になりました。深く感謝申し上げます。
本研究では、富士山の活動のモニタリングの方法として、建物などの振動特性評価に用いられている、常時微動測定に基づく手法を火山に適用することを試みた。まず、富士山において微動観測を実施した。観測は2012年8月6日から9日に実施し、富士山の南斜面において、2合目及び5~10合目の計7点で同時観測を行った。観測には、3成分加速度計とデータロガーを用いた。得られた観測記録からスペクトル解析を行った結果、NS’成分では0.21Hz、EW’成分では0.20Hzで卓越振動数が確認できた。また、卓越振動数における振動モード形や卓越振動数付近の周波数帯における相互相関関数からは、6合目を境に振動が変化していることが示唆された。これは、6合目以下では低次モードよりも高次モードの影響が大きくなっていることが起因していると考えられる。
固有値解析では、数値標高モデルデータを用いてモデルを作成して解析を行った。その結果、1次固有振動数は0.22Hzとなり、観測結果とほぼ同じ結果が得られた。このことから富士山の1次固有振動数は0.20~0.22Hzであると推定できた。また、マグマを考慮したモデルで固有値解析を行った。その結果、振動モード形の変化または高次モードの寄与率の変化からマグマの貫入を検知できる可能性が示された。しかし、そのためには観測で正しく固有振動数を把握できるほどの精度が求められる。また、火山モニタリングへ向け現実的に評価するためには、マグマの位置や大きさ、物性等さらなる検討が必要である。
本研究で観測を行うにあたり、観測に参加していただいた方には多大なるご協力をいただきました。また、山小屋の方々にも大変お世話になりました。深く感謝申し上げます。