日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW25] 都市域の地下水・環境地質

2015年5月27日(水) 14:15 〜 16:00 101B (1F)

コンビーナ:*安原 正也(独立行政法人 産業技術総合研究所)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、浅田 素之(清水建設株式会社)、滝沢 智(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)、鈴木 弘明(日本工営株式会社 中央研究所 総合技術開発部)、西田 継(山梨大学大学院医学工学総合研究部)、座長:西田 継(山梨大学大学院医学工学総合研究部)、安原 正也(独立行政法人 産業技術総合研究所)

14:15 〜 14:35

[AHW25-01] ネパール・カトマンズ盆地の地下水中における健康関連微生物の汚染実態

*原本 英司1 (1.山梨大学大学院総合研究部)

キーワード:健康関連微生物, 微生物指標, 微生物起源解析

ネパールのカトマンズ盆地では,急速な人口増加に伴って衛生状態が悪化し,病原微生物(ウイルス,原虫および病原細菌)による水系感染症の発生が深刻な問題となっている。しかしながら,現地住民の主要な飲料水源である地下水中における病原微生物の汚染実態はほとんど明らかにはされておらず,水系感染リスクの定量的な評価やリスク制御手法の構築を困難としている。
講演者は,文部科学省グローバルCOEプログラム「アジア域での流域総合水管理研究教育の展開」や地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「微生物学と水文水質学を融合させたネパールカトマンズの水安全性を確保する技術の開発」を通じ,地下水を中心としたカトマンズ盆地の水環境中における健康関連微生物(病原微生物およびその指標微生物の総称)の汚染実態の解明に取り組んできている。これまでに得られた主な知見としては,(1)地下水中の健康関連微生物の汚染レベルは井戸の構造によって大きく異なること,(2)ヒト以外の複数種の動物による地下水中の糞便汚染が生じていること,(3)現行の糞便汚染指標微生物である大腸菌や大腸菌群が検出されない地下水からも病原微生物が検出され,指標微生物の有効性に限界があること,などが挙げられる。
本講演では,これまでの研究成果の概要を紹介する予定である。