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[SVC49-06] 温泉・地熱地域の同位体挙動のケーススタディその2
キーワード:温泉, 地熱, 同位体, 肘折, EGS
地熱開発地域において、酸素および水素同位体のデータはその地熱流体の起源や進化、そして周辺の温泉や河川との関係を示唆するものとして、前年の講演では、八丈島地熱地域および松之山温泉発電地域を例にとって紹介した。
近年、地熱開発の手法としてEGS(高温岩体発電)が注目を集めている。この手法は、地上から河川水を注入して、地下で加熱された熱水・蒸気を利用するものであるので、EGSにおいても酸素・水素同位体のデータは、本来地下に貯留していた流体と河川水の混合などを示唆するものである・
EGSは、アメリカやオーストラリアなどでいくつかのプロジェクトが進行中であるが、日本においても震災以後の地熱開発促進プロセスでEGSに関する調査も行われ始めており、その中で2002年度まで実施されていた山形県肘折におけるEGSの成果の再検討が必要となっている。
筆者はこれまで、肘折におけるEGS試験でのトレーサー試験やスケール付着の地球化学的な解析で循環試験中の貯留層および流体性状の変化をまとめてきたが、本発表においては、循環試験中の生産井および注入井の酸素・水素同位体の変化を示すとともに、その貯留層挙動との関連、河川水や温泉水との関連を考察する。
同位体の測定は、EGSの循環システムについては、2本の生産井(HDR-2およびHDR-3)と注入井で2000年11月から2001年8月、河川水および温泉水については2001年7月に実施した。
(1)河川水およびEGS実験地域近隣の温泉においては、酸素・水素同位体比は天水ラインに沿って分布した。
(2)HDR-2では、水素および酸素同位体比は、循環初期では増加傾向にあり、2001年5月にはそれぞれ-45‰ および-4.6‰ に達した。しかし、2001年5月から6月にかけて、δD と δ18O はそれぞれ急速に減少し、-54.4‰ および -8.6‰ となり天水ラインに近づいた。この、HDR-2のδ18O の値の変化は、Cl濃度の循環中の変化に対応するものであった。
(3)HDR-3では、酸素同位体比の値は、HDR-2より高い傾向を示し、循環中の同位体比の変化は、HDR-2に近い挙動を示した。この違いは、HDR-3とHDR-2の注入井からの距離や透水性の違いなどに起因する。
近年、地熱開発の手法としてEGS(高温岩体発電)が注目を集めている。この手法は、地上から河川水を注入して、地下で加熱された熱水・蒸気を利用するものであるので、EGSにおいても酸素・水素同位体のデータは、本来地下に貯留していた流体と河川水の混合などを示唆するものである・
EGSは、アメリカやオーストラリアなどでいくつかのプロジェクトが進行中であるが、日本においても震災以後の地熱開発促進プロセスでEGSに関する調査も行われ始めており、その中で2002年度まで実施されていた山形県肘折におけるEGSの成果の再検討が必要となっている。
筆者はこれまで、肘折におけるEGS試験でのトレーサー試験やスケール付着の地球化学的な解析で循環試験中の貯留層および流体性状の変化をまとめてきたが、本発表においては、循環試験中の生産井および注入井の酸素・水素同位体の変化を示すとともに、その貯留層挙動との関連、河川水や温泉水との関連を考察する。
同位体の測定は、EGSの循環システムについては、2本の生産井(HDR-2およびHDR-3)と注入井で2000年11月から2001年8月、河川水および温泉水については2001年7月に実施した。
(1)河川水およびEGS実験地域近隣の温泉においては、酸素・水素同位体比は天水ラインに沿って分布した。
(2)HDR-2では、水素および酸素同位体比は、循環初期では増加傾向にあり、2001年5月にはそれぞれ-45‰ および-4.6‰ に達した。しかし、2001年5月から6月にかけて、δD と δ18O はそれぞれ急速に減少し、-54.4‰ および -8.6‰ となり天水ラインに近づいた。この、HDR-2のδ18O の値の変化は、Cl濃度の循環中の変化に対応するものであった。
(3)HDR-3では、酸素同位体比の値は、HDR-2より高い傾向を示し、循環中の同位体比の変化は、HDR-2に近い挙動を示した。この違いは、HDR-3とHDR-2の注入井からの距離や透水性の違いなどに起因する。