日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21] 大気化学

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 201B (2F)

コンビーナ:*澤 庸介(気象研究所海洋・地球化学研究部)、竹川 暢之(首都大学東京 大学院理工学研究科)、金谷 有剛(独立行政法人海洋研究開発機構地球環境変動領域)、高橋 けんし(京都大学生存圏研究所)、谷本 浩志(国立環境研究所)、座長:中山 智喜(名古屋大学 太陽地球環境研究所)

17:36 〜 17:39

[AAS21-P20] 衛星観測による東アジアの対流圏NO2カラム濃度のトレンド解析

ポスター講演3分口頭発表枠

*武藤 拓也1入江 仁士2板橋 秀一3 (1.千葉大学大学院融合科学研究科、2.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、3.電力中央研究所)

キーワード:二酸化窒素, OMI, GOME-2, トレンド解析

二酸化窒素(NO2)は、呼吸により人体に取り込まれると呼吸器系に悪影響を及ぼす。また、オゾンやエアロゾルの前駆体や大気の酸化能を支配するOH濃度を左右する重要な因子であるなど、大気環境中で中心的な役割を果たしている。Hilboll et al.(2013)によると、2011年まで中国中東部の対流圏NO2濃度は増加傾向にあった。中国では、窒素酸化物(NOx)の総量規制を課した第12次五か年計画が2011年より施行されており、その成果が期待されている。また、日本においては、2011年まで緩やかな減少傾向が報告されているが、2014年までのごく最近のNO2の濃度傾向は明らかにされていない。特に、2011年の東日本大震災を受けて、火力発電の割合増加によるNO2濃度レベルへの影響も詳細に理解されていない。このように、ごく最近の東アジア主要国のNO2濃度の推移を明らかにすることは大変興味深い。本研究では、対流圏NO2 鉛直カラム濃度(VCD)を観測する衛星搭載センサーであり、2015年2月現在でも稼働中であるOMI, GOME-2の2つのデータセットを使用した。まずは年平均の時系列データを用いて、日本や中国上空の対流圏NO2 VCDトレンドの解析を行った。中国中東部においては、2005年より2011年までに平均して年率7%のNO2 VCDの増加傾向が見られたが、2011年から2014年にかけて一転して平均して年率11%の減少傾向が見られた。また日本においては、東日本大震災発生年の2011年までは年率4%の減少傾向が見られた。2011年から2014年にかけても、年率4%の減少傾向が見られたので、震災後の火力発電割合増加による影響は小さいことが示唆された。本講演では、さらに、緯度経度0.5度グリッド毎にトレンドを算出して見られる地域特性等を基に、NO2 VCDの変動の要因を議論する。