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[AAS21-P20] 衛星観測による東アジアの対流圏NO2カラム濃度のトレンド解析
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:二酸化窒素, OMI, GOME-2, トレンド解析
二酸化窒素(NO2)は、呼吸により人体に取り込まれると呼吸器系に悪影響を及ぼす。また、オゾンやエアロゾルの前駆体や大気の酸化能を支配するOH濃度を左右する重要な因子であるなど、大気環境中で中心的な役割を果たしている。Hilboll et al.(2013)によると、2011年まで中国中東部の対流圏NO2濃度は増加傾向にあった。中国では、窒素酸化物(NOx)の総量規制を課した第12次五か年計画が2011年より施行されており、その成果が期待されている。また、日本においては、2011年まで緩やかな減少傾向が報告されているが、2014年までのごく最近のNO2の濃度傾向は明らかにされていない。特に、2011年の東日本大震災を受けて、火力発電の割合増加によるNO2濃度レベルへの影響も詳細に理解されていない。このように、ごく最近の東アジア主要国のNO2濃度の推移を明らかにすることは大変興味深い。本研究では、対流圏NO2 鉛直カラム濃度(VCD)を観測する衛星搭載センサーであり、2015年2月現在でも稼働中であるOMI, GOME-2の2つのデータセットを使用した。まずは年平均の時系列データを用いて、日本や中国上空の対流圏NO2 VCDトレンドの解析を行った。中国中東部においては、2005年より2011年までに平均して年率7%のNO2 VCDの増加傾向が見られたが、2011年から2014年にかけて一転して平均して年率11%の減少傾向が見られた。また日本においては、東日本大震災発生年の2011年までは年率4%の減少傾向が見られた。2011年から2014年にかけても、年率4%の減少傾向が見られたので、震災後の火力発電割合増加による影響は小さいことが示唆された。本講演では、さらに、緯度経度0.5度グリッド毎にトレンドを算出して見られる地域特性等を基に、NO2 VCDの変動の要因を議論する。