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[HGG21-01] 東日本大震災後の国産材流通の評価:東北日本を事例に
キーワード:東日本大震災, 国産材流通, 合板
本研究は、合板主導で再編が進んだ東北日本における国産材流通が、どの程度震災の影響を受けたかを評価することを目的とする。そのため、岩手県、秋田県、宮城県の主な木材流通関係者や森林組合の担当者に対する聞き取り、および統計データを用いて、震災前後の変化を分析する。
まず、2000年代に入り、合板産業が原材料を外材から国産材へ転換したことで、国産材流通が再編した。東北日本でこの転換を可能にした要因は、国有林施業の請負で素材生産能力と生産組織が維持されてきたこと、国産材流通組織が成立したためである。また、管理があまりなされていない山林の多い東北日本では、素材生産の際、製材向け国産材(A材)だけでなく合板向け国産材(B材)も得られることから、合板工場に対する国産材供給は増加の一途をたどっている。
次に、県別に震災後の動きをみる。岩手県では、2つの合板工場が津波災害によって倒産し、1工場は内陸へ移転する形で新設された。また、バイオマス発電プラントが稼働したため、国産材需給は大きく変化し、流通組織の再編を伴う国産材流通の変化がみられる。
秋田県では、合板向け国産材生産を契機としたB材供給が、機械化の進展に伴う施業効率の向上で拡大している。また、12年に稼働開始したある大型製材工場で柱・間柱生産が増加しているため、A材供給量も増加している。そのため、B材供給量も増加し、秋田県における国産材流通は震災前と比べ供給量の増加を経験している。
宮城県では、合板工場の被災、繊維板工場や製紙工場での素材(C材)受入取りやめや受入制限などで、国産材流通が一時停滞することもあった。しかし、復興需要や消費税増税前の駆け込み需要で合板増産となり、岩手県から供給される合板向け素材が増加した。宮城県では、震災前から合板向け国産材供給が国産材流通の主翼を担っており、岩手県からの国産材供給を受ける形で、より安定した供給体制になった。
東北日本の国産材流通は震災を経て様々な変化を経験している。いくつかの変化は地震被害により直接引き起こされたが、ほとんどは、国産材需要のさらなる増加とそれに対する国産材流通の体制強化や素材生産量の回復によるものである。震災前後を通じて、安定的な国産材流通の体制を構築し続けているため、東北日本における国産材流通は現時点でレジリエントであるといえる。また、この結果は、他地域でも展開が試みられている安定的な国産材流通の構築を考えるうえで有意義であると考える。
まず、2000年代に入り、合板産業が原材料を外材から国産材へ転換したことで、国産材流通が再編した。東北日本でこの転換を可能にした要因は、国有林施業の請負で素材生産能力と生産組織が維持されてきたこと、国産材流通組織が成立したためである。また、管理があまりなされていない山林の多い東北日本では、素材生産の際、製材向け国産材(A材)だけでなく合板向け国産材(B材)も得られることから、合板工場に対する国産材供給は増加の一途をたどっている。
次に、県別に震災後の動きをみる。岩手県では、2つの合板工場が津波災害によって倒産し、1工場は内陸へ移転する形で新設された。また、バイオマス発電プラントが稼働したため、国産材需給は大きく変化し、流通組織の再編を伴う国産材流通の変化がみられる。
秋田県では、合板向け国産材生産を契機としたB材供給が、機械化の進展に伴う施業効率の向上で拡大している。また、12年に稼働開始したある大型製材工場で柱・間柱生産が増加しているため、A材供給量も増加している。そのため、B材供給量も増加し、秋田県における国産材流通は震災前と比べ供給量の増加を経験している。
宮城県では、合板工場の被災、繊維板工場や製紙工場での素材(C材)受入取りやめや受入制限などで、国産材流通が一時停滞することもあった。しかし、復興需要や消費税増税前の駆け込み需要で合板増産となり、岩手県から供給される合板向け素材が増加した。宮城県では、震災前から合板向け国産材供給が国産材流通の主翼を担っており、岩手県からの国産材供給を受ける形で、より安定した供給体制になった。
東北日本の国産材流通は震災を経て様々な変化を経験している。いくつかの変化は地震被害により直接引き起こされたが、ほとんどは、国産材需要のさらなる増加とそれに対する国産材流通の体制強化や素材生産量の回復によるものである。震災前後を通じて、安定的な国産材流通の体制を構築し続けているため、東北日本における国産材流通は現時点でレジリエントであるといえる。また、この結果は、他地域でも展開が試みられている安定的な国産材流通の構築を考えるうえで有意義であると考える。