11:33 〜 11:36
[SSS24-P04] GEONETリアルタイム解析を用いた地震規模即時推定システム(REGARD)の概要
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:GEONET, リアルタイムキネマティックGNSS, リアルタイム
国土地理院は全国約1,300ヶ所に設置されたGNSS連続観測施設(電子基準点)から構成されるGNSS連続観測網(GEONET)を運用している。GEONETでは、国土地理院(茨城県つくば市)の解析センターにおいて電子基準点で観測されたGNSSデータを収集し、解析を行い、その結果を観測データとともに一般に提供している。ほとんどの電子基準点でのGNSS観測は1秒サンプリングで行われ、そのデータはリアルタイムに解析センターへ転送されている。このリアルタイムデータは、ネットワークRTKのための補正情報の生成や、リアルタイム解析技術の研究等のために利用されている。
GEONETリアルタイム解析の重要性は平成23年(2011)東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)の発生により大きく高まった。この地震に伴って発生が予測された津波に対し、気象庁は地震発生後約3分で津波警報第1報を発表したが、実際に観測された津波はその予測を大きく上回るものであった。この原因として、津波警報第1報では主に短周期地震計データから推定された地震規模を基に津波高が予測されており、地震規模がM8を超えるような巨大地震においてはそれが飽和することが指摘されている(Ozaki, 2011)。一方で、地震規模は地殻変動量に基づいて推定することもでき、それは飽和の恐れがないため、特に大きな地殻変動が生じるような巨大地震の地震規模についてはこの方法によってより信頼度の高い結果を得ることができると考えられる。このことから、短時間で地震時地殻変動を得ることが可能なGNSS観測データのリアルタイム解析を用いた地震規模の即時推定技術については、現在大きな期待が寄せられている。
このような背景のもと、国土地理院では国土地理院、大学等の研究成果であるGNSSリアルタイム解析技術、地殻変動検知技術、矩形断層モデル及びすべり分布モデル推定技術等を組み合わせた地震規模即時推定システム(REGARD)の開発を平成23年度から開始し、実運用に向けて改造を進めてきた。REGARDは大きく分けて以下の3つのサブシステムから構成されている。
1.リアルタイム解析サブシステム
RTKLIB 2.4.1(Takasu, 2011)及びGSILIB(国土地理院, 2015)をベースとした解析エンジンで、主として日本海側に固定点をとる相対測位を行う。
2.変動検知サブシステム
REGARDの開発に当たって共同研究している東北大学の研究成果であるRAPiDアルゴリズム(Ohta et al., 2012)又は緊急地震速報(Kamigaichi et al., 2009)を用いて地震の発生を検知し、各電子基準点の変位量を計算する。
3.矩形断層モデル及びすべり分布モデル推定サブシステム
変動検知サブシステムで計算された電子基準点の変位量を入力値として即時自動断層モデル計算(西村, 2010;Kawamoto, 2014)を実行することで,地震発生の検知から3分以内で地震規模が推定される.
REGARDにより出力された地震規模及びその他の解析結果は、最終的に電子メールで指定した対象に送信される。
近年の開発では、平成25年度にリアルタイム解析について東北地方を中心としたものから全国の電子基準点に対応させたものにするとともに、システムを二重にすることで冗長性を高めた(矢萩ほか, 2014)。平成26年度には、システムの信頼性及び安定性の向上並びに解析結果の閲覧機能の充実を目的として改造を行った。ここでの主な改造点は、解析の冗長性の確保(異なる暦による基線解析及びPPP)、GNSS(GPS, 準天頂衛星, GLONASS)解析への対応、解析結果閲覧ツールの改良であり、そのほかにも様々な改良を施すことで実運用を目指したシステムの構築を図った。これにより巨大地震に伴う地殻変動を即座に捉えるとともに、信頼性の高い地震規模を速やかに関係機関へ伝達することができ、津波警報における津波の予測高の高精度化や地盤沈下が発生した地域を迅速に把握すること等への貢献が期待できる。
本発表では、REGARD開発の最新の状況、解析の精度、解析結果閲覧機能等の概要並びに今後の運用及び改良について報告する。
GEONETリアルタイム解析の重要性は平成23年(2011)東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)の発生により大きく高まった。この地震に伴って発生が予測された津波に対し、気象庁は地震発生後約3分で津波警報第1報を発表したが、実際に観測された津波はその予測を大きく上回るものであった。この原因として、津波警報第1報では主に短周期地震計データから推定された地震規模を基に津波高が予測されており、地震規模がM8を超えるような巨大地震においてはそれが飽和することが指摘されている(Ozaki, 2011)。一方で、地震規模は地殻変動量に基づいて推定することもでき、それは飽和の恐れがないため、特に大きな地殻変動が生じるような巨大地震の地震規模についてはこの方法によってより信頼度の高い結果を得ることができると考えられる。このことから、短時間で地震時地殻変動を得ることが可能なGNSS観測データのリアルタイム解析を用いた地震規模の即時推定技術については、現在大きな期待が寄せられている。
このような背景のもと、国土地理院では国土地理院、大学等の研究成果であるGNSSリアルタイム解析技術、地殻変動検知技術、矩形断層モデル及びすべり分布モデル推定技術等を組み合わせた地震規模即時推定システム(REGARD)の開発を平成23年度から開始し、実運用に向けて改造を進めてきた。REGARDは大きく分けて以下の3つのサブシステムから構成されている。
1.リアルタイム解析サブシステム
RTKLIB 2.4.1(Takasu, 2011)及びGSILIB(国土地理院, 2015)をベースとした解析エンジンで、主として日本海側に固定点をとる相対測位を行う。
2.変動検知サブシステム
REGARDの開発に当たって共同研究している東北大学の研究成果であるRAPiDアルゴリズム(Ohta et al., 2012)又は緊急地震速報(Kamigaichi et al., 2009)を用いて地震の発生を検知し、各電子基準点の変位量を計算する。
3.矩形断層モデル及びすべり分布モデル推定サブシステム
変動検知サブシステムで計算された電子基準点の変位量を入力値として即時自動断層モデル計算(西村, 2010;Kawamoto, 2014)を実行することで,地震発生の検知から3分以内で地震規模が推定される.
REGARDにより出力された地震規模及びその他の解析結果は、最終的に電子メールで指定した対象に送信される。
近年の開発では、平成25年度にリアルタイム解析について東北地方を中心としたものから全国の電子基準点に対応させたものにするとともに、システムを二重にすることで冗長性を高めた(矢萩ほか, 2014)。平成26年度には、システムの信頼性及び安定性の向上並びに解析結果の閲覧機能の充実を目的として改造を行った。ここでの主な改造点は、解析の冗長性の確保(異なる暦による基線解析及びPPP)、GNSS(GPS, 準天頂衛星, GLONASS)解析への対応、解析結果閲覧ツールの改良であり、そのほかにも様々な改良を施すことで実運用を目指したシステムの構築を図った。これにより巨大地震に伴う地殻変動を即座に捉えるとともに、信頼性の高い地震規模を速やかに関係機関へ伝達することができ、津波警報における津波の予測高の高精度化や地盤沈下が発生した地域を迅速に把握すること等への貢献が期待できる。
本発表では、REGARD開発の最新の状況、解析の精度、解析結果閲覧機能等の概要並びに今後の運用及び改良について報告する。