日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM25] 太陽圏・惑星間空間

2015年5月25日(月) 11:00 〜 12:45 202 (2F)

コンビーナ:*徳丸 宗利(名古屋大学太陽地球環境研究所)、中川 朋子(東北工業大学工学部情報通信工学科)、座長:徳丸 宗利(名古屋大学太陽地球環境研究所)

12:15 〜 12:18

[PEM25-P01] AMATERASによって観測された太陽電波IV型バースト中のzebra patternの偏波特性

ポスター講演3分口頭発表枠

*金田 和鷹1三澤 浩昭1土屋 史紀1小原 隆博1岩井 一正2 (1.東北大学 惑星プラズマ・大気研究センター、2.国立天文台野辺山太陽電波観測所)

太陽電波IV型バーストはメートル波長帯からデシメートル波長帯にかけて観測される電波放射で、閉じた磁力線に捕捉された非熱的電子に起因するとされている。IV型バースト中には様々なスペクトル微細構造が存在することが知られており、それらのスペクトル構造はコロナ中の放射源や電波伝搬域のプラズマ環境を反映したものである。その中にzebra pattern (ZP)と呼ばれる微細構造は狭帯域の放射が周波数方向に並んだ縞模様のようなスペクトル形状を示す現象が時折出現することが知られている。このようなZPの特徴はコロナのプラズマ環境を理解する上で有用であるが、その詳細な生成メカニズムは特定されていない。このZPについて、これまでに考えられているシナリオの検証を通して、その放射及び伝搬過程を明らかにすることがこの研究の目的である。
本研究では、2011年6月21日に200MHz付近で観測されたZPの偏波について、特にその周波数特性に着目し、太陽電波望遠鏡AMATERASにより得られた高分解能スペクトルデータを用いた解析を行った。主な観測結果は以下にまとめられる。1) ZPは両円偏波成分に現れていたが、右回り成分が卓越しており、その円偏波率は50-70%で周波数依存性はほとんど見られない。2) 右回り成分と左回り成分の周波数には数十kHzのずれが生じており、そのずれは放射周波数により異なっている。3) 右回り成分と左回り成分の出現には顕著な時間差があり、右回り成分に対して左回り成分が約60ms遅れて出現し、時間差には弱い周波数依存性がある。ZPが、その発生過程として有力なDPR(Double Plasma Resonance)で放射されたと仮定して、1)~3)の偏波特性が現れた過程を検討した。その結果、ZPがOモードで放射された後、放射源のごく近傍でその一部が、イオン音波やホイッスラーモード波動などの低周波波動との相互作用によりXモードに変換されることで周波数ずれが生じ、そこから伝搬するOモードとXモードの群速度の違いにより時間差が発生した可能性が高いことが示唆された。