日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG30] 陸域生態系における水・炭素・窒素などの循環に関する研究

2015年5月25日(月) 09:00 〜 10:45 301B (3F)

コンビーナ:*加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、平田 竜一(独立行政法人国立環境研究所)、座長:平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)

10:00 〜 10:15

[ACG30-05] モンゴル北部森林ー草原境界域におけるカラマツと土壌の窒素同位体比の空間変動

*藤吉 麗1辻村 真貴2ロペス ラリー3杉本 敦子4 (1.北海道大学大学院環境科学院、2.筑波大学生命環境系、3.山形大学農学部、4.北海道大学大学院地球環境科学研究院)

キーワード:エコトーン, モンゴル, 窒素同位体比, 植物と土壌

植物と土壌の窒素同位体比は生態系の窒素動態の指標としてその有用性が広く知られており、窒素同位体比の変動が窒素動態の変化を意味する。全球的な空間スケールにおいて窒素同位体比は気候に沿った変動傾向を示すことが明らかになってきたが、その変動が示す具体的な窒素動態の変化についての解釈が進んでいない。
本研究は、モンゴル北部の森林―草原境界エコトーンに注目し、微気候の勾配に沿って優占植物であるシベリアカラマツと土壌の窒素同位体比の変動とその変動の示す窒素動態についての調査研究を行った。
2004年から2012年の間、5月から8月の期間において、7つの調査域でカラマツの葉と土壌(表層~50cm深)を採取した。
その結果、カラマツ葉、土壌の窒素同位体比とその差(Δδ15N)は森林―草原の勾配に沿った変動を示し、有機層の堆積様式(mor/mull)の変化と対応していた。Δδ15Nは葉の炭素同位体比、土壌のC/N比と有意な相関を示したことから、水分・光環境と土壌の窒素利用性が窒素同位体比の空間変動と関係していることが示唆された。観測された同位体比を説明する窒素プロセスについて、土壌に存在する生物利用可能な窒素についての同位体質量収支からの説明を試みた。