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★ [MIS34-01] 春季気温変化と植生変化に伴う火災量変動の可能性ー過去15万年間の琵琶湖湖底堆積物の微粒炭分析
キーワード:火災量, 微粒炭, 春季気温, 春季日射量, 植生タイプ, 琵琶湖堆積物
世界各地で火災量を示す堆積物の微粒炭量が,氷期・間氷期サイクルなど世界的な気候変動や軌道強制力による各地のモンスーン強度などと対応することが示されている.しかし,東アジアモンスーン地域での気候変動と火災との関係を明らかにした研究はほとんどない.本研究では,日本における気候変動に伴う火災量の変遷を明らかにするため,過去15万年間の琵琶湖湖底堆積物(BIW08-Bコア)の微粒炭量を調べた.その結果,微粒炭量は寒冷期のMIS2とMIS6には少なく,火災は少なかったと推察された.MIS3からMIS5eに相当する4-13万年前の間の微粒炭量は,21000-23000年の周期を持っており,これは歳差運動周期に対応する.この間の微粒炭量の変動は,夏季日射量変化に伴う夏季モンスーンの強度変化による植生変化と位相差があり,春季日射量に対応する可能性がある.また,微粒炭量の大きな変動傾向(例えば,MIS6からMIS5eへの急増,MIS5eからMIS4への減少傾向)は,海洋酸素同位体比に対応する.一方で,微粒炭量のピークはスギなど針葉樹の優占時に認められる.現在の日本では,森林火災の発生は春に集中し,火災の発生はリターなど燃焼物の乾燥度に大きく依存する.また,一般にスギは落葉広葉樹などと比べて着火しやすいとされている.以上から,過去15万年間(少なくとも4-13万年前)の火災の発生は,春の気温が燃焼物の乾燥度を通してリターなどの着火の頻度を決定し,さらにその際の植生タイプによって火の拡大の可否が決定していた可能性を示唆する.