日本地球惑星科学連合2015年大会

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インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG01] International comparison of landscape appreciation

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*Christoph Rupprecht(Griffith School of Environment, Griffith University)、高瀬 唯(千葉大学大学院園芸学研究科)、古谷 勝則(千葉大学大学院園芸学研究科)

18:15 〜 19:30

[HGG01-P03] 都道府県レベルの人口密度と緑地保全活動への意識の違い

*櫻庭 晶子1高瀬 唯2 (1.筑波技術大学、2.千葉大学大学院園芸学研究科)

キーワード:緑地保全活動, 人口密度, 都道府県

1.はじめに
 緑豊かな都市環境の形成の一手段として,都市の緑地保全が挙げられる。日本の都市では、市民による緑地保全活動が行われている。本研究では、都市とそれ以外の地域で緑地保全活動の状況に違いがあるか明らかにすることを目的とした。

2.研究の方法
 市民対象の緑地保全活動参加への意識調査を2013 年 2 月に行った(n=1500)。ネットリサーチに関する民間企業を通し,インターネット上で調査を行った。調査内容として,回答者の属性,保全活動への参加経験の有無,保全活動への参加意欲の有無,保全活動参加に対する意識を調査した。本研究では広域地方公共団体の人口密度から3000人/kmと1000人/kmを基準に、3つに分けて比較した。人口密度3000人/kmを、本論ではO3000と表記し、東京都(6016人/km)、大阪府(4667人/km)、神奈川県(3745人/km)である。1000人/km以上 3000人/km未満を、本論ではU3000と表記し、埼玉県(1894人/km)、愛知県(1438人/km)、千葉県(1206人/km)、福岡県(1019人/km)である。これら以外の広域地方公共団体が1000人/km未満であり、U1000と表記した。分析には、χ2検定を用いた。

3.結果と考察
 3.1 個人属性
 回答者全体では男性750人(50.0%)、女性750人(50.0%)であり、10代から50代まで各250人(16.7%)で、60代188人(12.5%)、70代62人(4.1%)であった。回答者全体では、有職が779人(51.9%)、無職(主婦など)が439人(29.1%)、その他285人(19.0%)であった。性別や年代に偏りが少ない回答者となっている。次に、回答者の居住地は、O3000が 475人(31.7%)、U3000が328人(21.9%)、U1000が697人(46.5%)であった。

 3.2 参加経験と参加意思
 緑地保全活動への参加経験のある回答者は、O3000が 92人(19.4%)、U3000が86人(26.2%)、U1000が190人(27.3%)であり、有意差があった(p<.05)。緑地保全活動への参加意思のある回答者は、O3000が 178人(37.5%)、U3000が141人(43.0%)、U1000が190人(45.3%)であり、有意差があった(p<.05)。O3000より、U3000やU1000の方が緑保全活動への参加経験と参加意思が高かった。

 3.3 保全活動参加に対する意識
 情報の調べ方がわからないと感じると回答した人数は、O3000が 216人(45.5%)、U3000が120人(36.6%)、U1000が307人(44.0%)であり、有意差があった(p<.05)。他の14課題項目では有意差が見られなかった。

4.おわりに
 緑地保全活動への参加経験と参加意思でみると、3000人/km以上の広域地方公共団体と3000人/km未満の広域地方公共団体の間に、有意な差がみられた。このことからも、都市とそれ以外の地域で緑地保全活動の状況に違いがあることを明らかにできた。