15:48 〜 15:51
[PEM27-P27] 高緯度帯のGPS観測網を用いた中規模伝搬性電離圏擾乱の統計解析
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:中規模伝搬性電離圏擾乱, GPS, オーロラ活動
我々の先行研究では、アラスカに存在する100機以上のGPS受信機網から得られたデータを用いて作成した全電子数 (Total Electron content ; TEC) 変動の水平二次元分布図 (時間分解能は30秒、空間分解能は緯度経度0.15°× 0.15°) を調べることで、2012年1年間のアラスカ上空における中規模伝搬性電離圏擾乱 (Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbances; MSTID) の発生頻度、伝搬方向に関する統計的性質を初めて明らかにした。アラスカ上空におけるMSTIDは冬季 (11月~2月) の昼間 (8~20時LT) に発生頻度が高く、最大で50%程度の発生頻度であった。また、その伝搬方向は、8時から14時程度まで南か南東方向が支配的であり、14時から20時頃まで南西方向が支配的であることが分かった。
本研究では、とりわけこの伝搬方向の統計解析結果の理解に焦点を当てた。昼間における南、南東方向への伝搬は、中緯度地域における昼間のMSTIDの特徴と一致するものであり、大気重力波がMSTIDの成因であると考えられる。一方、南西方向へ伝搬するMSTIDは、アラスカにおいて全天大気光イメージャーによるMSTIDの観測を行った先行研究でも大気光観測が可能になる日没時以降に観測されており、オーロラ活動によって励起された大気重力波が原因と考えられている。本研究では、大気光観測が可能になる日没後よりも早い地方時においても南西方向に伝搬するMSTIDが発生することを示した。
本講演では、MSTIDの周期、水平波長、伝搬速度等のパラメータを統計解析した結果を示すとともに、オーロラ活動によって励起された大気重力波が伝搬することによってTEC変動を引き起こしたという可能性について議論する。また、アラスカと同緯度帯に位置する北欧のGPSデータも使ってMSTIDの伝搬方向を詳細に調べ、このような特徴のMSTIDが高緯度帯特有のものかどうかについて議論する。
本研究では、とりわけこの伝搬方向の統計解析結果の理解に焦点を当てた。昼間における南、南東方向への伝搬は、中緯度地域における昼間のMSTIDの特徴と一致するものであり、大気重力波がMSTIDの成因であると考えられる。一方、南西方向へ伝搬するMSTIDは、アラスカにおいて全天大気光イメージャーによるMSTIDの観測を行った先行研究でも大気光観測が可能になる日没時以降に観測されており、オーロラ活動によって励起された大気重力波が原因と考えられている。本研究では、大気光観測が可能になる日没後よりも早い地方時においても南西方向に伝搬するMSTIDが発生することを示した。
本講演では、MSTIDの周期、水平波長、伝搬速度等のパラメータを統計解析した結果を示すとともに、オーロラ活動によって励起された大気重力波が伝搬することによってTEC変動を引き起こしたという可能性について議論する。また、アラスカと同緯度帯に位置する北欧のGPSデータも使ってMSTIDの伝搬方向を詳細に調べ、このような特徴のMSTIDが高緯度帯特有のものかどうかについて議論する。