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[SGL40-01] 日本列島古生代前期変成岩?深成岩複合岩体の年代学と地球化学
キーワード:古生代前期, 変成岩-深成岩複合岩体, ジルコンU-Pb年代, K-Ar年代, 全岩化学組成
古生代前期の変成岩–深成岩複合岩体は,日本列島の各地に点在している.本報告では,このうち,長崎県野母崎角閃岩–変斑れい岩複合岩体,埼玉県木呂子角閃岩,岩手県宮守–母体の変成岩–フィオライト複合岩体について,全岩組成分析,ジルコンU–Pb年代,角閃石K–Ar年代等のデータを得た.古生代前期変成岩–深成岩複合岩体の分布において,野母崎岩体は西端に,木呂子岩体は中間に,宮守?母体岩体は北東端に,それぞれ位置している.
これらの岩体群は, 530–400Maの角閃石K–Ar年代を持つ角閃岩と480Ma前後のジルコンU–Pb年年代を持つ変斑れい岩を含む点で共通している.
角閃岩と斑れい岩の全岩化学組成は,カルクアルカリ系列–ソレアイト系列境界付近にプロットされ,その他の地球化学図も原岩となった火成岩類が島孤的であることを支持する.角閃岩は,ざくろ石等を伴わず,高圧型の証拠がない.このことは,この変成岩類が古い海洋プレートの沈み込みによる冷却の影響が小さい収束境界で形成されたことを示唆する.また,同じ年代の花崗岩質岩類(例えば氷上花崗岩類)が小規模であることも,長い沈み込み期間を経験した成熟した島孤ではないことと調和的である.これらの特徴を総合すると,530–400Maの年代を持つ変成岩-深成岩複合岩体は,海洋性島孤/残存島湖が付加したものである可能性が示唆される.
引用文献:
Isozaki et al. (2010) Gondowana Res., 18, 82–105.
竹内・牧本, (1995), 地調月報, 46, 419–423.
Ozawa (1984) Jour. Geol. Soc. Japan, 90, 697–716.
これらの岩体群は, 530–400Maの角閃石K–Ar年代を持つ角閃岩と480Ma前後のジルコンU–Pb年年代を持つ変斑れい岩を含む点で共通している.
角閃岩と斑れい岩の全岩化学組成は,カルクアルカリ系列–ソレアイト系列境界付近にプロットされ,その他の地球化学図も原岩となった火成岩類が島孤的であることを支持する.角閃岩は,ざくろ石等を伴わず,高圧型の証拠がない.このことは,この変成岩類が古い海洋プレートの沈み込みによる冷却の影響が小さい収束境界で形成されたことを示唆する.また,同じ年代の花崗岩質岩類(例えば氷上花崗岩類)が小規模であることも,長い沈み込み期間を経験した成熟した島孤ではないことと調和的である.これらの特徴を総合すると,530–400Maの年代を持つ変成岩-深成岩複合岩体は,海洋性島孤/残存島湖が付加したものである可能性が示唆される.
引用文献:
Isozaki et al. (2010) Gondowana Res., 18, 82–105.
竹内・牧本, (1995), 地調月報, 46, 419–423.
Ozawa (1984) Jour. Geol. Soc. Japan, 90, 697–716.