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[MIS24-01] 表層型メタンハイドレートの胚胎構造であるガスチムニーのタイプと分布密度について
キーワード:表層型メタンハイドレート, ガスチムニー, 隠岐トラフ
ガスチムニーとは長径数100mから数kmの柱状の地下構造として定義され、海底下に1km以上連続する音響的ブランキング帯に特徴づけられる。ガスチムニーは日本海の表層型ガスハイドレートの賦存構造であり、しばしば、塊状ハイドレートの海底露出、炭酸塩コンクリーションやバクテリアマットや関連する生物群集の発達により、サイドスキャンソナーの強反射帯として認識される。2013年と2014年の2年間に30,000km2 の海域でMBESとSBP音響観測を行い、971個のガスチムニーを確認した。これらは、産状とサイズに基づいて、3つの形態的タイプに区分できる。タイプA: 円柱状の単一チムニーで、直径200-400m、海盆底に不規則に散らばって分布する。有機物に富む堆積物が厚く発達する隠岐トラフ底に多く、ガスは微生物分解起源である。タイプB: 水平断面が不定形の複合型で、その広がりは500m x 3,000mほどと大きく、斜面から海盆底への変換点付近に発達する。AUVを用いた高分解能音響探査により隠岐トラフの斜面域に発見確認されたが、対馬海盆や日高沖にも同様の複合型が存在する可能性が高い。ガスサンプリングと組成分析はいまだ実施されていない。タイプC: 単一もしくは複合型で円柱状のものが多く、直径は400-600m, 断層を伴う海嶺や海脚の頂部に地質構造方向に沿って発達する。日本海東縁変動帯に沿って発達した富山トラフ(上越沖)と最上トラフに特徴的である。500-200万年前の日本海の反転テクトニクスにともなう褶曲と逆断層が深部の熱分解起源ガスの上方への移動通路となったと考えられる。ハイドレートを作るガスは熱分解起源あるいは熱分解起源と微生物起源が様々な割合で混合したガスである。タイプとサイズを考慮したガスチムニーの分布調査と解析が、表層型メタンハイドレート資源評価の基本的制約となる。本調査研究は経産省のメタンハイドレート資源開発促進事業の一環として実施されたものである。