09:30 〜 09:45
[HGG01-03] インドネシアの伝統的オープンスペースalun-alunにおける空間構成別の印象について -ボゴール農科大学学生を対象として-
キーワード:インドネシア, 伝統的緑地, Alun-Alun, 大学生
1.はじめに
世界第4位の人口を有しているインドネシアでは,その豊富な人口を源とした経済成長が目覚ましい。首都のJakartaを中心に都市の拡張が進んでおり,現在,オープンスペースの整備が課題とされている。本研究では,インドネシアの伝統的なオープンスペースであるalun-alunを対象とした。alun-alunは,広大な敷地の中に芝生と数本の木のみが存在する空間である。近年,政府が主導してalun-alunをCity Gardenに造り直している。City Gardenとは,花や樹木を植栽したオープンスペースである。本研究では,人々の持つalun-alunに対する印象を,伝統等的なalun-alunと、空間構成が変化したalun-alunの間で比較することを目的とした。
2.研究方法
本研究では,インドネシアのジャワ島西部に位置するボゴール農科大学の学生を対象に,alun-alunに対する印象を調査した。調査は7段階の評定尺度を用い,15種類の設問を設けた。設問は1)親しみのない-親しみのある,2)人工的-自然,3)嫌い-好き,4)美しくない-美しい,5)つまらない-楽しい,6)静か-活気のある,7)西洋的-インドネシア的,8) 居心地の悪い-居心地の良い,9)地味-派手,10)緑が少ない-緑が多い,11)現代的-伝統的,12)平凡-独特,13)汚い-きれい,14)行動の制限-行動の自由,15)単純-複雑である。7段階の評定尺度は,非常に,かなり,やや,どちらでもない,やや,かなり,非常にを用いた。本論中では非常に,かなり,ややを合計した回答者パーセントを使用した。調査は2013年5月に実施し,357名から回答を得た。分析にはSteel-Dwass 検定を用いた。Steel-Dwass 検定は,タイプ1とタイプ2,タイプ1とタイプ3,タイプ1とタイプ4の3通りの組み合わせを15の設問で行った。また,本研究ではalun-alunを空間構成より,伝統的なタイプ1,プランター設置のタイプ2,テーマパークのタイプ3,西洋式公園のタイプ4に分けた。タイプ2,3,4は、タイプ1から空間構成が変化したものである。
3.結果と考察
タイプ1は,1)親しみのある(90.5%),3)好き(87.4%),2)自然(85.7%),7)インドネシア的(85.2%),11)伝統的(83.5%),4)美しい(82.9%),14)行動の自由(82.9%),8)居心地の良い(82.4%),10)緑が多い(81.8%)空間であった。Steel-Dwass 検定の結果,全体45通りの組み合わせのうち,41通りで有意差が見られた(p<.01)。有意差が見られなかったのは,タイプ1とタイプ2の6)静か-活気のある,12)平凡-独特,13)汚い-きれいの組み合わせと,タイプ1とタイプ4の4)美しくない-美しいの組み合わせであった。これより伝統的なタイプ1は,空間構成が変化したタイプと異なる印象を学生に持たれていることが分かる。
設問の10)緑が多いでは,タイプ1(81.8%),タイプ2(48.5%),タイプ3(30.3%),タイプ4(48.5%)であった。これより伝統的なタイプ1の方が,空間構成が変化したタイプより,緑が多い空間として学生に捉えられていることが分かる。
4.結論
ボゴール農科大学の学生は,タイプ1のalun-alunを,自然で美しく親しみが持てる居心地の良い空間と感じ,インドネシアの伝統的な空間として好んでいた。広大な敷地の中に芝生と数本の木のみが存在する伝統的なalun-alunの方が,花や樹木を植栽したCity Gardenより,緑が多く感じられているようである。
世界第4位の人口を有しているインドネシアでは,その豊富な人口を源とした経済成長が目覚ましい。首都のJakartaを中心に都市の拡張が進んでおり,現在,オープンスペースの整備が課題とされている。本研究では,インドネシアの伝統的なオープンスペースであるalun-alunを対象とした。alun-alunは,広大な敷地の中に芝生と数本の木のみが存在する空間である。近年,政府が主導してalun-alunをCity Gardenに造り直している。City Gardenとは,花や樹木を植栽したオープンスペースである。本研究では,人々の持つalun-alunに対する印象を,伝統等的なalun-alunと、空間構成が変化したalun-alunの間で比較することを目的とした。
2.研究方法
本研究では,インドネシアのジャワ島西部に位置するボゴール農科大学の学生を対象に,alun-alunに対する印象を調査した。調査は7段階の評定尺度を用い,15種類の設問を設けた。設問は1)親しみのない-親しみのある,2)人工的-自然,3)嫌い-好き,4)美しくない-美しい,5)つまらない-楽しい,6)静か-活気のある,7)西洋的-インドネシア的,8) 居心地の悪い-居心地の良い,9)地味-派手,10)緑が少ない-緑が多い,11)現代的-伝統的,12)平凡-独特,13)汚い-きれい,14)行動の制限-行動の自由,15)単純-複雑である。7段階の評定尺度は,非常に,かなり,やや,どちらでもない,やや,かなり,非常にを用いた。本論中では非常に,かなり,ややを合計した回答者パーセントを使用した。調査は2013年5月に実施し,357名から回答を得た。分析にはSteel-Dwass 検定を用いた。Steel-Dwass 検定は,タイプ1とタイプ2,タイプ1とタイプ3,タイプ1とタイプ4の3通りの組み合わせを15の設問で行った。また,本研究ではalun-alunを空間構成より,伝統的なタイプ1,プランター設置のタイプ2,テーマパークのタイプ3,西洋式公園のタイプ4に分けた。タイプ2,3,4は、タイプ1から空間構成が変化したものである。
3.結果と考察
タイプ1は,1)親しみのある(90.5%),3)好き(87.4%),2)自然(85.7%),7)インドネシア的(85.2%),11)伝統的(83.5%),4)美しい(82.9%),14)行動の自由(82.9%),8)居心地の良い(82.4%),10)緑が多い(81.8%)空間であった。Steel-Dwass 検定の結果,全体45通りの組み合わせのうち,41通りで有意差が見られた(p<.01)。有意差が見られなかったのは,タイプ1とタイプ2の6)静か-活気のある,12)平凡-独特,13)汚い-きれいの組み合わせと,タイプ1とタイプ4の4)美しくない-美しいの組み合わせであった。これより伝統的なタイプ1は,空間構成が変化したタイプと異なる印象を学生に持たれていることが分かる。
設問の10)緑が多いでは,タイプ1(81.8%),タイプ2(48.5%),タイプ3(30.3%),タイプ4(48.5%)であった。これより伝統的なタイプ1の方が,空間構成が変化したタイプより,緑が多い空間として学生に捉えられていることが分かる。
4.結論
ボゴール農科大学の学生は,タイプ1のalun-alunを,自然で美しく親しみが持てる居心地の良い空間と感じ,インドネシアの伝統的な空間として好んでいた。広大な敷地の中に芝生と数本の木のみが存在する伝統的なalun-alunの方が,花や樹木を植栽したCity Gardenより,緑が多く感じられているようである。