日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-EM 太陽地球系科学・宇宙電磁気学・宇宙環境

[P-EM28] 磁気圏-電離圏ダイナミクス

2015年5月28日(木) 14:15 〜 16:00 302 (3F)

コンビーナ:*三好 由純(名古屋大学太陽地球環境研究所)、長谷川 洋(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、田中 良昌(国立極地研究所)、堀 智昭(名古屋大学太陽地球環境研究所 ジオスペース研究センター)、座長:齊藤 実穂(東京工業大学地球惑星科学科)

14:45 〜 15:00

[PEM28-06] 極冠パッチと共存する極冠アークの発生

*坂井 純1細川 敬祐2田口 聡3小川 泰信4 (1.電気通信大学宇宙・電磁環境研究センター、2.電気通信大学大学院情報理工学研究科、3.京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地球物理学教室、4.国立極地研究所)

キーワード:極冠パッチ, 極冠アーク, 極域電離圏, 磁気圏, アーク起源

極冠パッチの後縁に寄り添った極冠アークをスバールバルのロングイヤービエンに設置された全天イメージャ (ASI) で 2014 年 12月 23 日に観測した。極冠パッチは惑星間空間磁場 (IMF) が南向きの場合に発生すること、また極冠アークは IMF が北向きの場合に発生することが知られている。さらに、IMF が南向きから北向きに反転した場合には極冠パッチと極冠アークが同時に出現することがあることが知られている。パッチとアークの同時出現についてこれまでの観測例では、両者は互いに遠く離れてはいない (すなわち、両者ともに観測機器の視野内にある)ものの、両者の位置には隔たりがあったことが知られている。それに対して、今回報告する観測例ではパッチとアークは近接していた。波長 630.0 nm の光の全天画像には、パッチがオーロラオーバルに進入する直前にパッチの後縁の輝度が突然上昇したことが記録されている。これらの画像はパッチのエッジに沿って細長い帯状のオーロラ発光があったことを示している。スバールバル・ダイナゾンデ(イオノゾンデ)の F 層臨界周波数 (foF2) 観測値から導出した F層の最大電子密度 (NmF2) の時間変化は、天頂における 630.0 nm 光輝度の時間変化とよく一致しており、これは ASI で観測したパッチ状の像は確かにプラズマのパッチだったことを示している。また、ASI で観測した 557.7 nm 光輝度データは、パッチのエッジに沿った明るいアーク状の像がオーロラ発光によるものであることを示唆している。ACE 衛星による IMF 観測によると、このイベントの1時間前に IMF が南向きから北向きに反転していたことがわかっている。さらに、アークが現れたのとほぼ同じ時刻に F 層ドリフト速度の東西成分が反転したことがスバールバル・ダイナゾンデで観測されており、観測域のF 層に東西方向の速度シアが存在したことを示唆している。このことも、観測した明るいアークが確かにオーロラアークであったことを示している。このイベントの特異性は、これまで良く知られている南北に伸びた極冠アークとは異なり、アークが東西に伸びている点である。これらの観測事実をもとに、このアークの発生源についての考察を行う。